『三国志 Three Kingdoms』の考察 第33話「三顧の礼(さんこのれい)」

劉備(りゅうび)は自ら諸葛亮(しょかつりょう)の住まいを訪ねるも、なかなか会うことができない。

ようやく三度目の訪問で対面を果たすと、劉備は漢室(かんしつ)中興にかける思いを熱く語る。

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第33話の展開とポイント

(01)西暦207年 隆中(りゅうちゅう)

劉備が関羽(かんう)・張飛(ちょうひ)らとともに諸葛亮を訪ねる。

冒頭、心が洗われるような素晴らしい景色。

その道中、劉備は諸葛亮が作ったという民謡を歌う農夫から、臥竜岡(がりょうこう)の場所を教えてもらう。

(02)臥竜岡

劉備が諸葛亮を訪ねたものの、不在のため会えず。劉備は諸葛家の童子に伝言を頼み、新野(しんや)へ戻る。

臥竜岡もなかなかのロケーション。

ここで劉備が童子に伝えた現在の官爵は、「漢の左将軍(さしょうぐん)・宜城亭侯(ぎじょうていこう)・豫州牧(よしゅうぼく)」だった。

(03)隆中

臥竜岡からの帰路、劉備は博陵(はくりょう)の崔州平(さいしゅうへい)と出会う。崔州平は劉備に茶を振る舞い、川辺で語り合う。

(04)新野

12月に入っても諸葛亮の帰りを待ちわびる劉備。劉備が孫乾(そんけん)と話しているところへ、昨夜、諸葛亮が戻ったとの知らせが届く。

(05)隆中

劉備が関羽や張飛とともに、再び諸葛亮を訪ねる。

その道中で酒場から詩が聞こえ、劉備らは酒場に立ち寄る。そこで劉備は潁川(えいせん)の石広元(せきこうげん)と汝南(じょなん)の孟公威(もうこうい)に出会う。

ここで以前に来たときにはなかった酒場が開店していた。あれほど山奥だと言っていたのに都合がよすぎる。もともと酒場はあったのだが、前回は気づかなかったことにしたほうが自然だったかも? まぁ、どちらにせよ苦しいか。

(06)臥竜岡

劉備は庵(いおり)に入って諸葛均(しょかつきん)に会うが、またも諸葛亮は不在のため会えず。昨夜帰ってきたというのは諸葛均のことだった。

諸葛均は劉備にふたりの兄の話もしていた。「私は孔明(こうめい。諸葛亮のあざな)の弟、諸葛均です。諸葛の家には兄弟が3人。長男が諸葛瑾(しょかつきん)、次男が諸葛亮です」と。

つまり「ショカツキン」がふたりいるわけで、この紹介だけで「諸葛瑾」と「諸葛均」との違いまで視聴者に伝わるとは思えなかった。

劉備は紙筆を借り、諸葛亮に一筆残して帰る。

ここで紙、竹簡や木簡、帛(はく。絹)の使い分けに触れておく。製紙法は後漢(ごかん)の宦官(かんがん)だった蔡倫(さいりん)の改良により、元興(げんこう)元(105)年に実用化され、この時点(207年)では100年ほど経っている。三国志を映像化する場合に扱いにくい問題のひとつだと思う。

ここまでのドラマでは竹簡や帛ばかり登場しており、紙との使い分けがわかりにくかった。このシーンでは、劉備が諸葛均に紙と筆を貸してくれと言っていたので、紙を借りたということだろう。

劉備が立ち去ろうとしたところ、諸葛亮の舅(しゅうと)の黄承彦(こうしょうげん)がやってくる。

(07)新野

孫乾が劉備に、蔡瑁(さいぼう)が三月(みつき)分の兵糧を渡さないことや、行商人から買った馬200頭も襄陽(じょうよう)の軍に押さえられたことを伝える。

馬については昨日(さくじつ)、糜芳(びぼう)が500の兵を連れて取り戻しに行き、数十頭だけ取り戻せたとも。

亀甲(きっこう)を使って吉凶を占う劉備。結果が大吉と出ると関羽と張飛を呼び、みたび諸葛亮を訪ねると告げる。ふたりは不満を述べながらもついていく。

このシーンでは雪がなかったので、年が明けて208年に入ったという設定だろう。

(08)隆中

劉備が道中で諸葛均と会い、諸葛亮が在宅だと聞く。

(09)臥竜岡

劉備ひとりがアサン(諸葛家の侍童)の案内で中に入り、昼寝をしている諸葛亮が目覚めるのを立ったまま待つ。

これまでも登場していた諸葛家の童子に、名前が設定されていたのは驚いた。

待ちくたびれた張飛が諸葛亮の庵に火を付ける。火の勢いが収まったところで、諸葛亮が詩を吟じながら起きてくる。

寝ている諸葛亮のすぐ近くで大きな火が燃えていた。この設定で大丈夫か?

諸葛亮が初めて劉備と対面し、関羽や張飛とも挨拶を交わす。諸葛亮は劉備を書斎に招き、漢室中興の思いを聴く。

諸葛亮は劉備に荊州(けいしゅう)を取るよう勧め、その後に西蜀(せいしょく)へ勢力を伸ばすという考えを述べる。

管理人「かぶらがわ」より

「諸葛亮、出た!」だった第33話。押さえるべきポイントを押さえてあったので、この話はよくできていたと思います。

少しだけ引っかかったのは、張飛が諸葛亮の庵に火を付けてしまったところ。煙でゴホゴホ言いながら諸葛亮が起きてくるというのは新味でした。

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記事作成にあたり参考にさせていただいた各種文献の詳細は三国志の世界を理解するために役立った本(参考文献リスト)をご覧ください。

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