曹操(そうそう)は陳宮(ちんきゅう)とともに董卓(とうたく)の追跡をかわし続け、成皐県(せいこうけん)までたどり着くと、父の曹嵩(そうすう)の義兄弟である呂伯奢(りょはくしゃ)の屋敷でひと息ついていた。
ところが曹操は勘違いから、呂伯奢をはじめとする呂家の者を皆殺しにしてしまう。この様子を目の当たりにした陳宮は、曹操のもとから去っていく。
第03話の展開とポイント
(01)西暦189年 成皐県
曹操と陳宮が呂家から逃げる。
ほどなくふたりは酒を買って戻った呂伯奢と出くわすが、曹操は呂伯奢も刺し殺す。
陳宮は恩人である呂伯奢を殺したことを非難するが、曹操は「われ人に背くとも、人われに背かせじだ」と応ずる。
ふたりは呂家へ戻るが、その夜のうちに陳宮は曹操のもとから去っていく。
(02)譙県(しょうけん)
曹操が帰り着き、父の曹嵩に挙兵の意思を伝える。
(03)西暦190年 陳留県(ちんりゅうけん)
曹操のもとに各地から壮士が駆けつける。
衛国(えいこく)の楽進(がくしん)、鉅鹿(きょろく)の李典(りてん)、夏侯淵(かこうえん)と夏侯惇(かこうとん)。また、曹仁(そうじん)や曹洪(そうこう)といった曹操の一族の顔も見える。
★ここで夏侯淵が、族兄(いとこ。一族の同世代の年長者)である夏侯惇の名を自分の後に出していたのが気になった。到着の報告に来たのが夏侯淵だったので、そういう順になっていただけかもしれないが……。
曹洪が曹操に、袁紹(えんしょう)が勃海(ぼっかい)で挙兵し、十八鎮諸侯を束ねていることを伝える。
曹操は皆に、天子(てんし。献帝〈けんてい〉)の討賊の勅書を偽造し、これを手土産に連合軍に加わる考えを述べる。
やがて陳留城に諸侯が集結。
第1鎮・南陽太守(なんようたいしゅ)の袁術(えんじゅつ)、第2鎮・冀州刺史(きしゅうしし)の韓馥(かんふく)。
ここから第6鎮・陳留太守(ちんりゅうたいしゅ)の張邈(ちょうばく)、第7鎮・東郡太守(とうぐんたいしゅ)の喬瑁(きょうぼう。橋瑁)、第8鎮・山陽太守(さんようたいしゅ)の袁遺(えんい)。
第10鎮・北海太守(ほっかいたいしゅ)の孔融(こうゆう)、第13鎮・西涼太守(せいりょうたいしゅ)の馬騰(ばとう)、第14鎮・北平太守(ほくへいたいしゅ)の公孫瓚(こうそんさん)。
そして第16鎮・烏程侯(うていこう)で長沙太守(ちょうさたいしゅ)の孫堅(そんけん)という具合に、主だった人物をピックアップして紹介。
★『三国志演義』を踏襲しているのだろうが、馬騰の西涼太守という官名はヘンだ。西涼は地域を表す通称であり郡名ではない。したがって、これに太守をくっつけると妙な感じになる。
しばらくして劉備(りゅうび)・関羽(かんう)・張飛(ちょうひ)も陳留城外に到着。
袁紹は諸侯がそろったところで軍議を始める。
★ここで袁紹から、「今回集まった人馬の総数は歩兵45万、騎兵9万。董卓ひきいる西涼軍の2倍にあたる」との発言があった。
袁紹が集まった諸侯の推挙を受け、この連合軍の盟主を引き受ける。
劉備らが城門で守将に入城を拒まれていたところへ曹操が到着。彼の計らいで劉備らも城内に入れてもらい、諸侯と同席することができた。
★劉備が諸侯に自分たちを紹介した際、劉備はいいとして、関羽が河東(かとう)解良(かいりょう)、張飛が河北(かほく)涿州(たくしゅう)の出身だと言っていた。ここも『三国志演義』を踏襲しているのだろうが、関羽は河東郡の解県(かいけん)、張飛は涿郡(たくぐん)の出身とするのが正しい。
また韓馥が、劉備が兵をひきいてこなかったことを馬鹿にして、「1万5千の軍勢が今まで(連合軍に加わった諸侯の中で)の最少だ」と言っていた。少し前に「驍騎校尉(ぎょうきこうい)曹操どのが壮士4千をひきいて到着」と紹介されていたが、曹操は諸侯扱いではないらしい。
曹操は偽造した勅書を披露し、これが偽物であることを認めたうえで有用性を力説。
さらに軍議を続けていたところ、董卓配下の華雄(かゆう)が陳留城に攻め寄せる。袁術配下の兪渉(ゆしょう)が挑むも、あっさり討ち取られる。
管理人「かぶらがわ」より
話が動きだしたという感じの第3話でした。
「頑張れ、ムシロ織り!」と言いたいところですけど、ムシロ織り(劉備)、門番(関羽)、肉の解体人(張飛)の3人だけで諸侯の集まりに乗り込むというのは……。韓馥でなくとも、常識的に考えれば無茶ですよね。
吉川『三国志』、『三国志演義』、正史『三国志』、いずれにもほんの一瞬しか登場しない人物が数多くいます。一瞬の輝きを見逃すな! 兪渉、ドンマイ。
で、ちょっとだけ苦言。この第3話では諸侯としてたくさんの人物が出てきましたが、字幕での紹介が少なすぎたと思います。
字幕を多用するとテンポは悪くなるのでしょうが、ここまで字幕紹介が少ないと『三国志演義』に詳しくない方にはわかりにくいのでは?
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監督:ガオ・シーシー 脚本:チュウ・スージン 国内販売元:エスピーオー
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記事作成にあたり参考にさせていただいた各種文献の詳細は三国志の世界を理解するために役立った本(参考文献リスト)をご覧ください。
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