吉川英治(よしかわ・えいじ)先生の小説『三国志』(全311話)を熟読して、展開やポイント、感想などをまとめたものです。主要テキストは新潮文庫版。表紙の画像は、株式会社新潮社さまの承諾を得たうえで掲載しています。このカテゴリーは第193話~第229話が対象です。
吉川『三国志』の考察 第229話「七軍魚鼈となる(しちぐんぎょべつとなる)」
龐徳(ほうとく。龐悳)との一騎討ちで矢傷を負った関羽(かんう)。その傷が回復の兆しを見せたころ、曹操軍(そうそうぐん)はにわかに布陣を変えた。 関羽は土地の案内者を伴い、自ら高地に登って地形を眺めるが、ここで必殺の一計を思いつく。この日から...
吉川『三国志』の考察 第228話「関平(かんぺい)」
樊城(はんじょう)の包囲を続けていた関羽(かんう)のもとに、曹操(そうそう)の援軍が迫っているとの知らせが届く。 関羽が迎撃に向かおうとすると、養子の関平(かんぺい)が、自分を代わりに遣わしてほしいと強く請う。許しを得た関平は、敵の先鋒の龐...
吉川『三国志』の考察 第227話「生きて出る柩(いきてでるひつぎ)」
樊城(はんじょう)の曹仁(そうじん)が関羽(かんう)に包囲されると、曹操(そうそう)は援軍の総大将に于禁(うきん)を指名したうえ、豪勇の龐徳(ほうとく。龐悳)を副将とし、七手組(ななてぐみ)と呼ぶ、自身の親衛軍も添えることにした。 すでに副...
吉川『三国志』の考察 第226話「烽火台(のろしだい)」
魏王(ぎおう)の曹操(そうそう)に対抗し、劉備(りゅうび)が漢中王(かんちゅうおう)に即位したことを知り、呉侯(ごこう)の孫権(そんけん)はいらだちを隠せない。 さらに、荊州(けいしゅう)へ遣わした諸葛瑾(しょかつきん)が関羽(かんう)に追...
吉川『三国志』の考察 第225話「漢中王に昇る(かんちゅうおうにのぼる)」
曹操軍(そうそうぐん)を漢中(かんちゅう)から退けた劉備(りゅうび)の版図は、今や一大強国と呼ぶにふさわしい広さとなる。 そこで諸葛亮(しょかつりょう)をはじめとする群臣は、劉備に漢中王(かんちゅうおう)の位に即くよう繰り返し勧めるが、なか...
吉川『三国志』の考察 第224話「鶏肋(けいろく)」
次男の曹彰(そうしょう)が援軍をひきいて合流したことにより、ここしばらく劉備軍(りゅうびぐん)に押されっぱなしだった曹操(そうそう)も、気を取り直す。 ところが、斜谷(やこく)の関城(かんじょう)で夕食を取っていた際、曹操がつぶやいたひと言...
吉川『三国志』の考察 第223話「次男曹彰(じなんそうしょう)」
漢水(かんすい)で黄忠(こうちゅう)と趙雲(ちょううん)に敗れた曹操(そうそう)は、北山(ほくざん)に続いて米倉山(べいそうざん)も失い、南鄭(なんてい)の辺りまで引く。 さらに曹操は、陽平関(ようへいかん)も捨てて斜谷(やこく)へ後退した...
吉川『三国志』の考察 第222話「趙子龍(ちょうしりゅう)」
曹操(そうそう)自ら20万の大軍をひきいて漢水(かんすい)まで迫ると、黄忠(こうちゅう)は劉備(りゅうび)の許しを得て迎撃に向かうが、このとき副将として趙雲(ちょううん)を付けてもらう。 黄忠は少数の兵で、曹操軍の兵糧が蓄えられている北山(...
吉川『三国志』の考察 第221話「一股傷折(いっこしょうせつ)」
定軍山(ていぐんざん)に陣取る夏侯淵(かこうえん)と、山のふもとに布陣して対峙(たいじ)する黄忠(こうちゅう)。黄忠は法正(ほうせい)と協議のうえ、定軍山の西にある山を攻め取り、敵陣を一望できる位置を占めた。 危険を感じた夏侯淵は、山を奪い...
吉川『三国志』の考察 第220話「絶妙好辞(ぜつみょうこうじ)」
天蕩山(てんとうざん)を奪われた張郃(ちょうこう)と夏侯尚(かこうしょう)は、定軍山(ていぐんざん)まで逃げ延び、夏侯淵(かこうえん)に味方の劣勢を伝える。 夏侯淵の報告を受けた南鄭(なんてい)の曹洪(そうこう)から急報がもたらされると、曹...
吉川『三国志』の考察 第219話「老将の功(ろうしょうのこう)」
名誉挽回の機会を与えられた張郃(ちょうこう)は、改めて5千余騎をひきい、劉備軍(りゅうびぐん)の守る葭萌関(かぼうかん)へ押し寄せた。 この知らせを受けた成都(せいと)では、諸葛亮(しょかつりょう)から、閬中(ろうちゅう)の張飛(ちょうひ)...
吉川『三国志』の考察 第218話「敗将(はいしょう)」
巴西(はせい)で張飛(ちょうひ)に惨敗し、3つの寨(とりで)を失い、瓦口関(がこうかん)へ逃げ込んだ張郃(ちょうこう)。 南鄭(なんてい)の曹洪(そうこう)に救援を要請するも拒否され、かえって激しい怒りを含んだ厳命が届く。 第218話の展開...
吉川『三国志』の考察 第217話「陣前公用の美酒(じんぜんこうようのびしゅ)」
巴西(はせい)から漢中(かんちゅう)を目指して出撃した張飛(ちょうひ)は、宕渠寨(とうきょさい)に籠もった曹操(そうそう)配下の張郃(ちょうこう)をおびき出そうとする。 しかし張郃に打って出る気配が見えなかったので、張飛は宕渠山のふもとまで...
吉川『三国志』の考察 第216話「御林の火(ぎょりんのひ)」
建安(けんあん)23(218)年の正月15日の夜、東華門(とうかもん)の門外にある王必(おうひつ)の営中の各所から火の手が上がる。 反乱軍の射た矢を受け落馬した王必は、助けを求めて金褘(きんい)の屋敷を訪ねるが、夫が帰ったものと思い込んだ金...
吉川『三国志』の考察 第215話「正月十五夜(しょうがつじゅうごや)」
曹操(そうそう)は管輅(かんろ)の予言にあった、「明春早々、都の内に火の災いあらん」という部分が気になっていた。 その対策として夏侯惇(かこうじゅん)に3万の兵を付け、許都(きょと)の郊外に配置。加えて王必(おうひつ)を府内に入れ、御林(ぎ...
吉川『三国志』の考察 第214話「神卜(しんぼく)」
曹操(そうそう)は左慈(さじ)の一件以来、何となく体調が優れない。そこで許芝(きょし)の勧めに従い、卜(うらない)の名人として知られる管輅(かんろ)を招く。 そして管輅から、左慈の見せたものの正体は幻術だと聞かされると、曹操の顔色もようやく...
吉川『三国志』の考察 第213話「藤花の冠(とうかのかんむり)」
左慈(さじ)は魏王宮(ぎおうきゅう)落成を祝う大宴を台なしにしたうえ、痛烈な曹操(そうそう)批判を繰り返す。 そして宴席から姿を消すと、曹操の命を受けた許褚(きょちょ)の追跡もかわしたが、ほどなく人相書きそっくりの左慈が各地で捕らえられる。...
吉川『三国志』の考察 第212話「柑子と牡丹(こうじとぼたん)」
ついに魏王(ぎおう)となった曹操(そうそう)は、さっそく鄴都(ぎょうと)に魏王宮を造営する。これが完成をみると、祝宴のため各地の名産品が集められた。 呉(ご)からは、温州(うんしゅう)の柑子(こうじ。蜜柑〈ミカン〉)40荷が送られることにな...
吉川『三国志』の考察 第211話「休戦(きゅうせん)」
曹操(そうそう)と孫権(そんけん)は濡須(じゅしゅ)で激戦を続けていたが、孫権は軽率な判断から劣勢を招き、陸遜(りくそん)がひきいた援軍の到着で何とか総崩れを免れる。 陸遜の反撃を受けた曹操軍は一転して敗北を喫し、その勢いも大きく削がれる。...
吉川『三国志』の考察 第210話「鵞毛の兵(がもうのへい)」
曹操(そうそう)は、漢中(かんちゅう)に張郃(ちょうこう)と夏侯淵(かこうえん)を残して南下し、孫権(そんけん)が待ち構える濡須(じゅしゅ)へ向かう。 孫権軍は初戦で敗れたものの、甘寧(かんねい)が100名の決死隊による夜襲を成功させたこと...