吉川英治(よしかわ・えいじ)先生の小説『三国志』(全311話)を熟読して、展開やポイント、感想などをまとめたものです。主要テキストは新潮文庫版。表紙の画像は、株式会社新潮社さまの承諾を得たうえで掲載しています。このカテゴリーは第024話~第046話が対象です。
吉川『三国志』の考察 第046話「毒と毒(どくとどく)」
董卓(とうたく)誅殺後も李傕(りかく)や郭汜(かくし)の専横に苦しめられていた献帝(けんてい)は、太尉(たいい)の楊彪(ようひょう)の計を用い、ふたりが対立するよう仕向ける。 楊彪の妻の活躍もあり、事は献帝の思い描いた通り運ぶかに見えたが―...
吉川『三国志』の考察 第045話「愚兄と賢弟(ぐけいとけんてい)」
陶謙(とうけん)亡き後、請われて徐州(じょしゅう)を統治することになった劉備(りゅうび)。 その徐州を頼り、曹操(そうそう)に敗れて各地をさまよった呂布(りょふ)がやってくる。受け入れに反対する声が上がる中、劉備の決断は――。 第045話の...
吉川『三国志』の考察 第044話「牛と『いなご』(うしと『いなご』)」
濮陽(ぼくよう)を巡る曹操(そうそう)と呂布(りょふ)の戦いは続いていたが、そこへ思わぬ脅威が迫ってくる。イナゴの大群だった。 その後、曹操は羊山(ようざん)に拠る黄巾賊(こうきんぞく)の残党を攻めた際、典韋(てんい)と互角に渡り合う壮士を...
吉川『三国志』の考察 第043話「死活往来(しかつおうらい)」
人選を誤ったことで曹操軍(そうそうぐん)の襲来を招いてしまった徐州(じょしゅう)の陶謙(とうけん)。各地の諸侯がだんまりを決め込む中、援軍要請にただひとり応じた男がいた。 そうしているうちに曹操も、留守の兗州(えんしゅう)を呂布(りょふ)に...
吉川『三国志』の考察 第042話「秋雨の頃(あきさめのころ)」
反董卓(とうたく)連合軍の解散後、曹操(そうそう)は兗州(えんしゅう)に拠って地盤を固め、彼のもとには有能な人材が集まりつつあった。 ここで曹操は瑯琊(ろうや。琅邪)に隠居していた父の曹嵩(そうすう)のことを思い出し、泰山太守(たいざんたい...
吉川『三国志』の考察 第041話「大権転々(たいけんてんてん)」
王允(おういん)の画策により董卓(とうたく)が誅殺された後、李傕(りかく)・張済(ちょうさい)・郭汜(かくし)・樊稠(はんちゅう)といった董卓の旧臣たちが、大軍をひきいて長安(ちょうあん)へ押し寄せる。 王允は献帝(けんてい)の身を案じ、彼...
吉川『三国志』の考察 第040話「人間燈(にんげんとう)」
もはや自身が帝位に即くことを疑わない董卓(とうたく)だったが、長安(ちょうあん)への道中では立て続けに不吉な現象を目にする。 しかし偽勅使役の李粛(りしゅく)に言いくるめられ、とうとう長安の市街に入った。丞相府(じょうしょうふ)で一泊した翌...
吉川『三国志』の考察 第039話「天颷(てんぴょう)」
機が熟したと見た司徒(しと)の王允(おういん)は、自身の別荘である竹裏館(ちくりかん)に呂布(りょふ)を招き入れ、董卓(とうたく)の誅殺計画を打ち明ける。 李粛(りしゅく)が扮(ふん)する偽勅使にまんまと騙(だま)された董卓は、数千の護衛を...
吉川『三国志』の考察 第038話「絶纓の会(ぜつえいのかい)」
貂蟬(ちょうせん)への想いを断ち切れない呂布(りょふ)は、董卓(とうたく)との溝を深めていく。 李儒(りじゅ)はこの状況に危険を感じ、「絶纓(ぜつえい)の会」の故事を引き董卓に翻意を促す。 第038話の展開とポイント (01)長安(ちょうあ...
吉川『三国志』の考察 第037話「痴蝶鏡(ちちょうきょう)」
王允(おういん)の屋敷で会った貂蟬(ちょうせん)が董卓(とうたく)の丞相府(じょうしょうふ)へ連れていかれたと聞き、焦りを募らせる呂布(りょふ)。 思わず董卓の寝所にまで立ち入り叱声を浴びたものの、その後は一転して気遣いの言葉をかけられるな...
吉川『三国志』の考察 第036話「傾国(けいこく)」
傾国の美女たる貂蟬(ちょうせん)を用い、董卓(とうたく)と呂布(りょふ)との離間を図った王允(おういん)。 彼らを別々の日に招待して貂蟬を引き合わせると、案の定、ふたりともすっかり心を奪われた様子――。 第036話の展開とポイント (01)...
吉川『三国志』の考察 第035話「牡丹亭(ぼたんてい)」
孫堅(そんけん)の急死を知って大喜びし、ついに権力の絶頂を極める董卓(とうたく)。 彼の存在に司徒(しと)の王允(おういん)は心を痛めていたが、ある晩、自宅の後園を歩いていると、幼いころから養育してきた楽女(がくじょ)の貂蟬(ちょうせん)に...
吉川『三国志』の考察 第034話「石(いし)」
荊州(けいしゅう)の諸城を手際よく陥し、劉表(りゅうひょう)の本拠である襄陽(じょうよう)を包囲する孫堅軍(そんけんぐん)。 ところが蒯良(かいりょう)の計にはまり、孫堅は思わぬ形で最期を遂げる……。 第034話の展開とポイント (01)襄...
吉川『三国志』の考察 第033話「溯江(そこう)」
袁紹(えんしょう)と袁術(えんじゅつ)が仲たがいすると、長沙(ちょうさ)にいた孫堅(そんけん)は袁術から密書を受け取る。 これを好機と捉えた孫堅は自ら船団をひきい、荊州(けいしゅう)の劉表(りゅうひょう)を攻めるべく出撃した。 第033話の...
吉川『三国志』の考察 第032話「白馬将軍(はくばしょうぐん)」
反董卓(とうたく)連合軍の解散後、ひとまず河内(かだい)へ移った袁紹(えんしょう)は兵糧の確保に頭を悩ませていた。 そこで冀州牧(きしゅうぼく)の韓馥(かんふく)から兵糧を借りようと考えるが、逢紀(ほうき)の進言に心を動かされる。 第032...
吉川『三国志』の考察 第031話「珠(たま)」
董卓(とうたく)により焼け野原と化した洛陽(らくよう)の宮殿跡を見て回る、袁紹(えんしょう)ら反董卓連合軍の諸侯。 皆が帰った後、なお孫堅(そんけん)は数名の従者とともに建章殿(けんしょうでん)の辺りをぶらついていたが、とある井戸から思わぬ...
吉川『三国志』の考察 第030話「生死一川(せいしいっせん)」
曹操(そうそう)は反董卓(とうたく)連合軍の諸侯と分かれ、洛陽(らくよう)を放棄した董卓を自分の手勢だけで追いかける。 すぐさま滎陽城(けいようじょう)を陥して進撃のペースを速めるが、その裏には董卓配下の李儒(りじゅ)の計があった。 第03...
吉川『三国志』の考察 第029話「洛陽落日賦(らくようらくじつふ)」
徐々に形勢を盛り返す反董卓(とうたく)連合軍に対し、董卓は敵方の孫堅(そんけん)を抱き込もうと密使を遣るが、あっさり断られてしまう。 そこで李儒(りじゅ)の進言を容れて長安(ちょうあん)への遷都を強行し、洛陽(らくよう)を引き払う際に火を放...
吉川『三国志』の考察 第028話「虎牢関(ころうかん)」
華雄(かゆう)が討ち死にしたと聞いた董卓(とうたく)は、汜水関(しすいかん)へ5万の援軍を送るとともに、自身も15万の大軍をひきいて虎牢関(ころうかん)まで出向く。 反董卓連合軍の諸侯もふた手に分かれて対応するが、虎牢関を攻めた主力軍は呂布...
吉川『三国志』の考察 第027話「関羽一杯の酒(かんういっぱいのさけ)」
届くはずの兵糧が届かなかったため、反董卓(とうたく)連合軍の先鋒を務めた孫堅(そんけん)は惨敗を喫する。袁紹(えんしょう)の本営に集まった諸侯も気落ちぎみ……。 やがて汜水関(しすいかん)から出撃した董卓軍が迫ると、諸侯は華雄(かゆう)の武...