吉川『三国志』の考察 第036話「傾国(けいこく)」

傾国の美女たる貂蟬(ちょうせん)を用い、董卓(とうたく)と呂布(りょふ)の離間を図った王允(おういん)。

彼らを別々の日に招待したうえ貂蟬を引き合わせると、案の定、ふたりともすっかり彼女に心を奪われた様子――。

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第036話の展開とポイント

(01)長安(ちょうあん) 王允邸(おういんてい)

王允は一家を挙げ呂布(りょふ)をもてなすと、給仕の侍女に貂蟬(ちょうせん)を呼んでくるよう言う。まもなく姿を見せた貂蟬があいさつすると、呂布は恍惚(こうこつ)と眺めるだけで、すっかり心を奪われてしまった。

ここで王允は貂蟬を(自分の)娘と紹介していた。

夜も更け呂布が帰ろうと立ちかけたところで、王允は貂蟬を差し上げてもよいとささやく。ただ、近いうち吉日を選び室へ送ることを約束するだけにしておき、この夜は呂布を帰らせた。

(02)長安 董卓(とうたく)の閣

翌日、王允は朝廷に出仕。呂布の見えない隙(すき)をうかがい董卓の閣へ行き、自邸での酒宴に誘う。董卓は非常な喜色で、明日にも行くことを快諾した。

『三国志演義(1)』(井波律子〈いなみ・りつこ〉訳 ちくま文庫)(第8回)では、王允が董卓を自邸に招きたいと言ったのは、呂布をもてなした数日後のこと。

(03)長安 王允邸

帰宅した王允はこのことを密かに貂蟬に伝え、家人たちを督して供応の善美を凝らす。翌日の巳(み)の刻(午前10時ごろ)、予定どおりに董卓の車列が到着。

井波『三国志演義(1)』(第8回)では、董卓が王允邸に到着したのは正午のこと。

王允は高座に迎え最大の礼を尽くした。董卓も大満足な様子で、傍らの席に着くことを許す。

やがて座上が杯盤狼籍(はいばんろうぜき。酒宴の席の杯〈さかずき〉や皿などが乱れた様子)になると、王允は董卓に少憩を勧め後堂に迎える。王允は家蔵の宝樽(ほうそん)を開け、長寿酒を注ぎつつ貂蟬の舞を披露する。

このとき王允は、貂蟬を当家の楽女(がくじょ)と紹介していた。

董卓が絶賛するのを見て、王允は貂蟬を献ずると告げる。董卓は満足を表す言葉も知らないほど喜び、彼女を丞相府(じょうしょうふ)へと連れ帰った。

丞相府まで同行した王允がわが家に引き返してくると、彼方の闇から呂布の一隊が近づいてくる。呂布は貂蟬を献じてしまったことに激怒していた。

王允は彼をなだめて自邸の密室に招き、言葉巧みに事情を説明。董卓が呂布をからかうつもりで、ひとまず貂蟬を預かったのだと信じ込ませた。

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管理人「かぶらがわ」より

着々と進められる王允の連環計。ここまで来れば、もう半分以上は成功でしょうか?

ただ、なぜこの計が離間計ではなく連環計と呼ばれるのか――。心を捉えて離れられないように連環するからなのか? イマイチしっくりこないのですよね……。

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