吉川英治(よしかわ・えいじ)先生の小説『三国志』(全311話)を熟読して、展開やポイント、感想などをまとめたものです。主要テキストは新潮文庫版。表紙の画像は、株式会社新潮社さまの承諾を得たうえで掲載しています。このカテゴリーは第134話~第163話が対象です。
吉川『三国志』の考察 第163話「南風北春(なんぷうほくしゅん)」
南屛山(なんぴょうざん)に築いた祭壇で祈りを捧げ、見事に東南(たつみ)の風を吹かせてみせた諸葛亮(しょかつりょう)だったが、その直後に行方をくらます。 周瑜(しゅうゆ)の命を受けた丁奉(ていほう)と徐盛(じょせい)が水陸ふた手に分かれて捜索...
吉川『三国志』の考察 第162話「孔明・風を祈る(こうめい・かぜをいのる)」
司令旗の旗竿(はたざお)に押しつぶされて血を吐き、陣中で寝込む周瑜(しゅうゆ)。だが、魯粛(ろしゅく)とともに見舞いに来た諸葛亮(しょかつりょう)は、彼の苦悩の原因を見抜く。 その場で周瑜に乞われた諸葛亮は、若いころ身に付けたという『八門遁...
吉川『三国志』の考察 第161話「鉄鎖の陣(てっさのじん)」
先に龐統(ほうとう)から勧められた連環の配列を完成させると、いよいよ曹操(そうそう)は大船団をひきいて烏林(うりん)まで進む。 吹きすさぶ烈風にも鎖でつながれた船の動揺は少なかったが、程昱(ていいく)はある不安を覚え、曹操に注意を促す。 第...
吉川『三国志』の考察 第160話「月烏賦(つきよがらすのうた)」
長江(ちょうこう)北岸に陣取る曹操(そうそう)は、諸将を一船に集めて盛大な夜宴を催す。 そのうち曹操は一羽の鴉(カラス)が月をかすめて飛ぶのを目にし、即興の賦(ふ)を吟じ始める。しかしこの賦が因(もと)で、揚州刺史(ようしゅうしし。楊州刺史...
吉川『三国志』の考察 第159話「竹冠の友(ちくかんのとも)」
蔣幹(しょうかん)の誘いに乗ったふりをして曹操(そうそう)と会い、すっかり信用された龐統(ほうとう)。さらに、周瑜(しゅうゆ)に不満を持つ諸将の取りまとめ役を引き受ける。 そして、曹操の本営を去るべく江岸の小舟に乗ろうとしたとき、龐統はいき...
吉川『三国志』の考察 第158話「鳳雛・巣を出ず(ほうすう・すをいず)」
先に曹操(そうそう)の許しを得て周瑜(しゅうゆ)の説得にあたり、失敗した蔣幹(しょうかん)。黄蓋(こうがい)の投降が真実か見極めるため、再び長江(ちょうこう)南岸の周瑜の本営を訪ねる。 だが周瑜は前回と態度を一変させ、前に来たときに寝房から...
吉川『三国志』の考察 第157話「裏の裏(うらのうら)」
闞沢(かんたく)の巧みな弁舌の前に、さすがの曹操(そうそう)も黄蓋(こうがい)が投降するとの話をいくらか信じ始める。 一方、すでに周瑜(しゅうゆ)のもとに送り込まれていた蔡和(さいか)と蔡仲(さいちゅう。蔡中)は、自分たちが主役的な働きをし...
吉川『三国志』の考察 第156話「一竿翁(いっかんおう)」
皆の前で周瑜(しゅうゆ)に罵倒されたうえ、百杖(ひゃくじょう)の刑まで受けて寝込む黄蓋(こうがい)。そこへ闞沢(かんたく)が見舞いにやってくる。 秘策を打ち明けられた闞沢は、黄蓋から託された曹操(そうそう)あての書簡を懐に、漁翁姿で長江(ち...
吉川『三国志』の考察 第155話「風を呼ぶ杖(かぜをよぶつえ)」
諸葛亮(しょかつりょう)を除くことこそできなかったものの、曹操軍(そうそうぐん)から10万本の矢を得た周瑜(しゅうゆ)。だが、敵の堅固な要塞には容易に手を出せず、頼みの火計を実行するめども立たなかった。 しかし、曹操側から蔡和(さいか)と蔡...
吉川『三国志』の考察 第154話「覆面の船団(ふくめんのせんだん)」
周瑜(しゅうゆ)の頼みを引き受ける形で、10万本もの矢を3日のうちに調達することになった諸葛亮(しょかつりょう)。 借り受けた船20余艘(そう)に妙な細工を施すと、魯粛(ろしゅく)を伴い夜の長江(ちょうこう)へ漕(こ)ぎだす。その行き先は何...
吉川『三国志』の考察 第153話「陣中戯言なし(じんちゅうぎげんなし)」
曹操(そうそう)が送り込んだ蔣幹(しょうかん)を逆に用い、敵の水軍首脳部の入れ替えに成功した周瑜(しゅうゆ)。 次の狙いは自陣に留まっている諸葛亮(しょかつりょう)。そこで周瑜は軍議の席上、水戦に備えてどのような武器を多く調えておくべきか、...
吉川『三国志』の考察 第152話「群英の会(ぐんえいのかい)」
曹操(そうそう)が新たに整備したという要塞を、ある夜ひそかに探りに行く周瑜(しゅうゆ)。彼はその規模や出来栄えに驚かされる。 翌日、心配の種が増えた周瑜の軍営を、旧友の蔣幹(しょうかん)が訪ねてくる。すぐに周瑜は来意を見抜き――。 第152...
吉川『三国志』の考察 第151話「狂瀾(きょうらん)」
長江(ちょうこう)南岸に本営を置く周瑜(しゅうゆ)のもとに、曹操(そうそう)から一書が届く。これを読んだ周瑜は魯粛(ろしゅく)の制止を聞かずに使者を斬り、諸将を集めて水陸の戦備について言い渡す。 ほどなく両軍は江上で激突したが、緒戦は孫権軍...
吉川『三国志』の考察 第150話「殺地の客(さっちのきゃく)」
孫権(そんけん)が曹操(そうそう)との開戦を決断すると、周瑜(しゅうゆ)は呉軍大都督(ごぐんだいととく)として出陣し、長江(ちょうこう)の南岸に本営を設けた。 このとき諸葛亮(しょかつりょう)も参陣したが、周瑜は彼を呼び、ある難題をふっかけ...
吉川『三国志』の考察 第149話「大号令(だいごうれい)」
諸葛亮(しょかつりょう)から聞いた話に激怒し、一転して曹操(そうそう)との開戦に傾く周瑜(しゅうゆ)。 翌朝に開かれた柴桑城(さいそうじょう)の評議の席でも、和平を唱える重臣たちを臆病者呼ばわりし、とうとう孫権(そんけん)に開戦を決断させる...
吉川『三国志』の考察 第148話「酔計二花(すいけいにか)」
鄱陽湖(はようこ)で水軍の調練にあたっていた周瑜(しゅうゆ)は、孫権(そんけん)から柴桑(さいそう)に来るよう呼び出しを受けた。 そして、ちょうど訪ねてきた魯粛(ろしゅく)から事情を聴くと、彼が呉(ご)へ連れてきたという諸葛亮(しょかつりょ...
吉川『三国志』の考察 第147話「火中の栗(かちゅうのくり)」
呉(ご)の重臣をことごとく論破してみせた諸葛亮(しょかつりょう)は、黄蓋(こうがい)の案内で孫権(そんけん)の居室へ通される。 そこで孫権から曹操軍(そうそうぐん)の実情について尋ねられたものの、あえて孫権を侮ったような受け答えに終始する。...
吉川『三国志』の考察 第146話「舌戦(ぜっせん)」
柴桑(さいそう)に到着した魯粛(ろしゅく)はさっそく登城するが、府堂では曹操(そうそう)から送られた檄文(げきぶん)への対応を巡る協議が続いていた。 その翌日、城内の一閣に招かれた諸葛亮(しょかつりょう)は、集まった呉(ご)の重臣たちを次々...
吉川『三国志』の考察 第145話「一帆呉へ下る(いっぱんごへくだる)」
劉備(りゅうび)は曹操(そうそう)の追撃をかわして江夏城(こうかじょう)に入ったが、そこへ孫権(そんけん)配下の魯粛(ろしゅく)が訪ねてくる。 諸葛亮(しょかつりょう)は心配する劉備をなだめて許しを得ると、呉(ご)へ帰る魯粛に同行し、自ら孫...
吉川『三国志』の考察 第144話「長坂橋(ちょうはんきょう)」
趙雲(ちょううん)は阿斗(あと。劉禅〈りゅうぜん〉)を懐に抱きながら、ついに曹操軍(そうそうぐん)の分厚い包囲を突破する。劉備(りゅうび)はわが子の無事よりも趙雲の無事を喜んだ。 押し寄せる曹操軍に対し、張飛(ちょうひ)は単騎で長坂橋(ちょ...