吉川『三国志』の考察 第163話「南風北春(なんぷうほくしゅん)」

南屛山(なんぴょうざん)に築いた祭壇で祈りを捧げ、見事に東南(たつみ)の風を吹かせてみせた諸葛亮(しょかつりょう)だったが、その直後に行方をくらます。

周瑜(しゅうゆ)の命を受けた丁奉(ていほう)と徐盛(じょせい)が水陸ふた手に分かれて捜索にあたり、ようやく諸葛亮の舟を見つけたものの、その舟には趙雲(ちょううん)も同乗していた。

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第163話の展開とポイント

(01)長江(ちょうこう)

徐盛は水夫や帆綱の番を励まし、諸葛亮の舟を追う。すると諸葛亮と同船していた趙雲が舷端(ふなばた)に立ち、強弓から一矢を放つ。矢は徐盛の舟に張られている帆の親綱を射切った。

帆は大きく横になり、水中に浸る。そのため舟は江上に回り、立ち騒ぐ兵を乗せたまま危うく転覆しそうに見えた。水浸しの帆を張り、再び徐盛が追いかけようとしたときには、もう諸葛亮の舟は遠い煙波の彼方(かなた)に霞(かす)んでいた。

江岸づたいに陸地から追ってきた丁奉が、大声で徐盛をなだめる。やむなくふたりは岸を後にして引き揚げた。

(02)長江の南岸 周瑜の本営

子細を聞いた周瑜は、「また孔明(こうめい。諸葛亮のあざな)に出し抜かれたか」と、急に臍(ほぞ)をかむように罵る。一度は深く諸葛亮に心服した彼も、その心服の度が越えるとたちまち将来の恐怖に変わった。

いっそ先に玄徳(げんとく。劉備〈りゅうび〉のあざな)を討ち、孔明を殺してから曹操(そうそう)と戦わんか、などと言いだす。それでも魯粛(ろしゅく)に諫められると気を取り直し、曹操との大決戦に臨むべく手分けを急ぎだした。

管理人「かぶらがわ」より

南屛山から諸葛亮を追ってきた丁奉と徐盛でしたが、趙雲の一矢に軽くあしらわれてしまいました。

ただ、これで呉(ご)のほうの準備はすべて整い、あとは出撃を待つばかりですね。

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