吉川『三国志』の考察 第037話「痴蝶鏡(ちちょうきょう)」

王允(おういん)の屋敷で会った貂蟬(ちょうせん)が董卓(とうたく)の丞相府(じょうしょうふ)へ連れていかれたと聞き、焦りを募らせる呂布(りょふ)。

思わず董卓の寝所にまで立ち入り叱声を浴びたものの、その後は一転して気遣いの言葉をかけられるなど、恩義と恋情との板挟みに苦悩する。

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第037話の展開とポイント

(01)長安(ちょうあん) 丞相府

呂布は貂蟬のことが頭から離れず、眠れぬまま翌朝を迎える。さっそく出仕して董卓の閣に出向いたが、後堂の寝殿は真午(まひる)になってようやく窓を開いた様子。

番将から董卓が目覚めたと聞くや、取り次ぎも待たずに後堂へ入っていく。そして昨夜のうちに董卓が貂蟬に手を付けたことを察し、心を煮えたぎらせる。用向きを聞かれた呂布は返答に窮し、その様子をいぶかしんだ董卓に叱られて立ち去った。

(02)長安 呂布邸

その後、呂布の様子が目立って変わってくる。丞相府への出仕を休んだり遅く出たりするようになり、夜は酒に酔い、昼は狂躁(きょうそう)に罵ったりした。また終日、呆然(ぼうぜん)とふさぎ込んだまま口を聞かない日もあった。

こうしてひと月余りが過ぎたころ、董卓が重くはないものの病床にあるとの話が伝わり、妻から見舞いに行くよう諫められる。さすがに呂布も久しぶりに丞相府へ出仕した。

(03)長安 丞相府

呂布が病床の董卓を見舞うと、かえって自分の体調を気遣われる。

しかし貂蟬の思わせぶりな態度に我を忘れ、彼女を抱きすくめようとしてしまう。ところがそのとき屛風(びょうぶ)の角に剣の佩環(はいかん。飾りの玉の輪)が引っかかり、董卓にとがめられる。激怒した董卓は呂布に謹慎を命じた。

李儒(りじゅ)は呂布を追い出したと聞くと、彼の重要性を説き、明日は再び召し寄せ、金銀を与えて優しく諭すよう勧める。

翌日、董卓は呂布を呼び、黄金10斤と錦20匹を下賜したうえ罵ったことを詫び、以前のように日ごと顔を見せてほしいとなだめた。

管理人「かぶらがわ」より

貂蟬の命がけの芝居が続きます。まっすぐすぎるところは呂布の魅力なのでしょうか? それとも欠点なのでしょうか?

これで学識も備えていたらどうなっていたのかと思いますが……。学識まで備えていなかったからこそ、これほどまっすぐだったのかもしれませんね。

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