『三国志 Three Kingdoms』の考察 第42話「赤壁の戦い(せきへきのたたかい)」

208年、黄蓋(こうがい)の苦肉の計をきっかけに、ついに長江(ちょうこう)南岸から孫権軍(そんけんぐん)が動きだし、北岸の曹操軍(そうそうぐん)に対して大規模な火攻めを仕掛ける。

思わぬ大敗を喫した曹操は何とか烏林(うりん)を離れるも、逃げる先々で劉備(りゅうび)配下の部将たちから追撃を受け続けた。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

第42話の展開とポイント

(01)夏口(かこう)

諸葛亮(しょかつりょう)が劉備のもとに戻り、すぐに諸将に命を下す。

趙雲(ちょううん)は3千の兵をひきいて長江を渡り、烏林の抜け道を通って葦(アシ)の茂みに待ち伏せるよう命ぜられる。

諸葛亮は、丑(うし)の刻を過ぎれば曹軍の敗北は濃厚だとし、敗残兵が来たら葦に火を付けるよう伝える。「半数は倒せよう」とも。

張飛(ちょうひ)は5千の兵をひきいて長江を渡り、夷陵(いりょう)の胡蘆谷(ころこく)へ行くよう命ぜられる。

諸葛亮は、趙雲の待ち伏せから逃れ、北夷陵へ逃げてきたところを攻めるようにと伝える。「曹操を捕らえられずとも、大きな成果を得られよう」とも。

糜芳(びぼう)・糜竺(びじく)・劉封(りゅうほう)はそれぞれ100艘(そう)の船をひきいて長江を巡航し、敗残兵を捕らえて武具を奪うよう命ぜられる。諸葛亮は「武具を満載にした船で戻れよう」とも。

このドラマでは、糜竺が文官ではなく武官として登場する。また、なぜか弟の糜芳ばかりが目立ち、兄の糜竺は影が薄い。

劉琦(りゅうき)は兵馬をひきいて武昌城(ぶしょうじょう)へ向かい、敗残兵が見えたら太鼓を鳴らし、出撃するよう頼まれる。

ここで関羽(かんう)が諸葛亮に自分の任務を尋ねると、ゆっくり休むよう言われる。

不満を表す関羽に諸葛亮は、「曹軍は必ず華容道(かようどう)を通って敗走する。そなたを行かせれば、曹操を逃がすやもしれぬ」と応ずる。

関羽は軍令状によって誓いを立てた後、関平(かんぺい)と周倉(しゅうそう)を連れて華容道へ向かう。同様に諸葛亮も、曹操が華容道を通らなかった場合は軍法に従うことを誓った。

このあと諸葛亮が劉備に、「関羽に情けを尽くす場を与えましょう。それも後世に伝わる美談」と言っていた。前半はいいが、後半は納得できない発言。この時点で後世に美談として伝わることを想定するのは、いかにもドラマ的。

(02)赤壁(せきへき) 周瑜(しゅうゆ)の軍営

周瑜が蔡中(さいちゅう)と蔡和(さいか)を処刑した後、黄蓋が出撃する。

前の第41話(01)の苦肉の計で、両足を砕かれたと言っていた黄蓋が元気な様子。

(03)西暦208年 赤壁の戦い

于禁(うきん)が曹操に、兵糧や武器を積んでいるはずの黄蓋の船団が、軽々と進みすぎていることを指摘する。

曹操は矢を放って船団を近づけないよう命ずるが、黄蓋は火攻めで応ずる。辺りが火の海と化す中、曹操は船を降りて陸に上がる。

(04)夏口?

馬謖(ばしょく)が、諸葛亮は曹操が死ぬか否かではなく、曹操が生き延びられるか否かを気にしていると指摘する。

このとき馬謖が「関将軍の手で(曹操が)亡き者となれば、この先、我々と曹氏の末裔は不俱戴天(ふぐたいてん)の敵(てき)。最大の敵(かたき)となりましょうぞ」と言い、諸葛亮が見解をたたえていた。この解釈を前面に押し出すのは新味。

だが一方で、曹操を殺さずに捕らえることさえできそうな局面では、いささか茶番めいているとも思う。

(05)敗走中の曹操

曹操が烏林の西、宜都(ぎと)の北で趙雲の追撃を受ける。

(06)夏口?

馬謖が諸葛亮に、周瑜がわざと西北の一角を空け、曹操を取り逃がしたとの見解を述べる。

さらに馬謖は、周瑜は曹操をわが軍の手で死なせ、恨みの矛先を主君に向けるつもりであるとも述べる。この見解に諸葛亮も同意し、馬謖を褒める。

(07)胡蘆谷

敗走を続ける曹操のもとから逃亡する兵士が相次ぐ。

ここで曹操が「結局、何人残った?」と尋ねると、程昱(ていいく)が「全部で27人おります」と答えていた。

ほどなく曹操が、突如現れた張飛の追撃を受ける。

(08)敗走中の曹操

曹操のもとに、逃亡した兵士たちが呂蒙(りょもう)と凌統(りょうとう。淩統)の攻撃を受けて全滅したとの知らせが届く。

知らせが届く前、曹操が程昱に、周瑜と劉備がお互いに相手の手で自分を殺させたいと考えていると話していた。この解釈はドラマの基本路線らしい。

曹操が南郡(なんぐん)へつながる分かれ道に至る。曹操は程昱から説明を聞き、険しい山道ながら50里の近道となる華容道を進むよう命ずる。この道の先には煙が見えていたが、曹操はあえてこちらを選んだ。

(09)華容道

曹操の前に関羽が軍勢をひきいて現れ、投降を促す。

ここで関羽が現れる前、程昱が張遼(ちょうりょう)に曹操の乗馬のことを話していた。「この馬は優れたカエンク(火炎駒?)。猛獣や虎、敵に遭遇すると、低い声で知らせるのだ」と。

しかし、関羽は以前に受けた恩義を思い起こし、結局は曹操らを見逃してしまう。

管理人「かぶらがわ」より

赤壁で大敗し、逃げまくる曹操が目立った第42話。

劉備側と孫権側がお互いに相手の手で曹操を殺させようとしていた、という解釈はどうなのでしょう?

華容道のエピソードはタラレバとしてはよくできた話だと思いますけど、これは完全に『三国志演義』の創作です。

赤壁の戦いに至るまでの話はこのドラマに限らず、劉備側の持ち上げすぎが気に入らない。何だか周瑜のほうが、諸葛亮にやられっぱなしみたいなんだもの……。

コメント ※下部にある「コメントを書き込む」ボタンをクリック(タップ)していただくと入力フォームが開きます

タイトルとURLをコピーしました