『三国志 Three Kingdoms』の考察 第66話「落鳳坡(らくほうは)」

劉備(りゅうび)は龐統(ほうとう)の進言を容れ、劉璋(りゅうしょう)との間で戦端を開く決断を下し、雒城(らくじょう)の攻略に乗り出す。

しかし、劉備とふた手に分かれて進軍中、龐統は劉璋配下の張任(ちょうじん)ひきいる伏兵に遭遇し、無念の戦死を遂げる。

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第66話の展開とポイント

(01)益州(えきしゅう) 涪城(ふうじょう)

劉備が龐統に蜀(しょく)取りへの強い意欲を示す一方、出陣する正当な名分がないとも話す。龐統は劉備の思いに感じ入り、「名分ある出陣にしてみせる」と請け合う。

龐統が魏延(ぎえん)を呼び、成都(せいと)の張松(ちょうしょう)への返書を信頼できる者に届けさせるよう命ずる。

この際に龐統は一計を案じ、張松ではなく兄の張粛(ちょうしゅく)に返書を届けさせるように、とも付け加えた。

(02)成都

劉璋のもとに劉備の書簡が届き、兵糧10万石(ごく)を要求される。黄権(こうけん)は兵糧の提供に反対するが、張松は賛成。結局、劉璋は劉備に3万石の兵糧を提供した。

(03)成都 東大路(ひがしおおじ) 張粛邸

張粛のもとに、龐統が張松に宛てた返書が届けられる。弟の内通に驚いた張粛は、この書簡を劉璋に差し出す。

劉璋は張任や黄権の進言を容れ、劉備の討伐を命ずる。

(04)涪城

劉備のもとに、劉璋から張松の首が届けられる。劉備は龐統の進言を容れ、雒城を取るべく出陣する。

(05)雒城の郊外

劉備が軍勢をひきい、雒城から30里ほどの地点に到着。ここで雒城の東門へ通ずる街道と西門へ通ずる小道とに道が分かれていた。劉備は龐統と相談し、兵を分けずに皆で小道を進むことを決める。

龐統が魏延とともに2千の兵をひきいて前軍となり、劉備は中軍、劉封(りゅうほう)が後軍という編成。

ここで出発しようとした龐統が馬から振り落とされる。龐統は願い出て、劉備の乗馬「的驢(てきろ)」を借りる。

(06)落鳳坡(らくほうは)

龐統は魏延を制して先行するが、張任ひきいる伏兵に遭遇し射殺される。

魏延が劉備に龐統の戦死を伝える。龐統が持っていた書状から、張松を陥れたのが龐統だったことや、伏兵の存在を予測しつつ、龐統が自ら死地へ赴いたことがわかる。

龐統の意をくんだ劉備は、全軍の将兵に蜀攻めを宣言する。

(07)荊州(けいしゅう) 襄陽(じょうよう)

諸葛亮(しょかつりょう)が星を見て、数日中に敗戦の知らせが届くことを予想する。

諸葛亮のもとに関平(かんぺい)が着き、劉備からの急ぎの書簡を届ける。

諸葛亮が蜀への出陣にあたり、荊州を関羽(かんう)に任せる。この際、諸葛亮は関羽に、「北は曹操(そうそう)を防ぎ、東は孫権(そんけん)と和す」との戒めを与える。

(08)成都

劉璋のもとに、諸葛亮が張飛(ちょうひ)や趙雲(ちょううん)とともに3万の鉄騎兵をひきいて攻め入ってきたとの知らせが届く。諸葛亮らは3日前に涪城を通過、道中の劉璋軍は次々と城を捨てて逃げたとも。

劉璋は黄権の進言を容れ、仇敵(きゅうてき)の張魯(ちょうろ)に救援を求める。

ここで劉璋が皆に、「2年前は張魯に対抗するために劉備を呼んだ。こたびは劉備に対抗するため張魯を呼び寄せろと?」と言っていた。劉備が蜀に入って2年ほど経ったことがうかがえる。

(09)漢中(かんちゅう)

黄権が楊松(ようしょう)を訪ね、益州への救援を求める。黄権は救援成功の見返りとして、蜀の西部10県の割譲を提示する。しかしこの条件に楊松が難色を示したため、結局、黄権は20県を割譲することで合意した。

楊松は張魯の軍師という設定。ここで黄権が、張魯に割譲する予定の地域を地図上に線引きするシーンを入れていたのはよかった。

楊松が張魯に劉璋からの救援要請と20県割譲の条件を伝え、承諾を得る。張魯は馬超(ばちょう)に3万の兵を授け、葭萌関(かぼうかん)への攻撃を命ずる。

(10)涪城

劉備が合流した諸葛亮と話していたところへ、張魯が馬超軍を葭萌関に送り込んだとの知らせが届く。

この時点で葭萌関の守将が孟達(もうたつ)になっており、何だかいきなりな感じ。孟達が劉備に仕えるまでの説明が要るのでは?

(11)葭萌関

関に攻め寄せた馬超軍の横手から、劉備が張飛とともに軍勢をひきいて到着。張飛は一騎討ち挑んできた馬岱(ばたい)を軽くあしらい、馬超に伝えるよう言い放つ。

ここで馬岱が再登場。先の第61話(04)で馬騰(ばとう)が曹操に処刑された際、許都(きょと)に随行していた彼が生き延びた経緯についても説明が要ると思う。

張飛が劉備の指示に従わず、関の前で馬超と一騎討ちを繰り広げる。日没が迫ると劉備は引き鐘を打たせるが、張飛は馬超と夜戦(よいくさ)をしようとする。

管理人「かぶらがわ」より

張松の気の毒な死と龐統の壮絶な死。落鳳坡に至るまでの過程は『三国志演義』をアレンジしたものでしたが、なかなか深いものがありました。

劉備に対抗するため仇敵の張魯に救援を頼む劉璋。これだけブレるとダメですね……。

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