『三国志 Three Kingdoms』の考察 第62話「衣を脱ぎ馬超と戦う(ころもをぬぎばちょうとたたかう)」

211年、曹操(そうそう)は渭水(いすい)一帯で馬超(ばちょう)をはじめとする西涼軍(せいりょうぐん)と戦っていた。

馬超の武勇は絶倫で、曹操配下の許褚(きょちょ)との一騎討ちにおいてもまったく引けを取らず、激戦を繰り広げる。

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第62話の展開とポイント

(01)西暦211年 渭水の戦い

単騎で突っ込んできた馬超に于禁(うきん)が挑んだものの相手にならず、落馬してしまう。

ただし、ここで于禁は馬超に討ち取られたわけではない。

続いて張郃(ちょうこう)が馬超に一騎討ちを挑む。張郃は于禁よりは渡り合うが、やはり落馬させられる。

この張郃も、ここで馬超に討ち取られたわけではない。また、張郃は先の第29話(04)で既出の人物だが、字幕による紹介があったのは初めての気がする。

馬超が全軍に突撃を命ずると、ほどなく曹操は馬で逃走。途中で目立つ赤い羽織を捨て、長いひげを斬り落とし、口元を黒い布で覆い、何とか自陣までたどり着いた。

ここでは許褚が馬超の追撃を食い止めていた。

(02)曹操の軍営

夏侯淵(かこうえん)が曹操に、西涼軍の騎馬兵の長槍(ちょうそう)に対抗するため、弓兵を使って攻めるよう進言する。

続いて曹洪(そうこう)が、西涼軍は騎馬兵ばかりであるため「コウレンソウ(?)」を使うよう進言する。

ここで出てきた「コウレンソウ」がよくわからなかった。兵器(特殊な槍〈やり〉)か?

続いて徐晃(じょこう)が、精鋭部隊を渭水の西に渡して馬超を挟撃するよう進言する。

曹操は徐晃の進言を容れ、彼に精鋭6千を預けて渭水の西側に渡らせ、2日後の正午に馬超を背後から攻撃するよう命ずる。

曹操のもとに、西涼軍の増援3万が長安(ちょうあん)から到着したとの報告が届く。

曹操は潼関(どうかん)の奪回を後回しにし、夜のうちに渭水を渡り、北岸に陣を構えるよう命ずる。

曹操のもとに、韓遂(かんすい)が5万の軍勢をひきいて到着し、馬超に合流したとの報告が届く。

このあたりの展開はドラマに限らず、吉川『三国志』や『三国志演義』でもわかりにくい。例えば「渭水の西側に渡らせ」は「黄河(こうが)の西側に渡らせ」が正しいと思う。当時の黄河と渭水の河道の認識に誤解があるのかもしれない。いずれにせよ、ドラマの場合は「オリジナル設定」と解釈してしまえば、特に問題がないとも言える。

(03)馬超の軍営

馬岱(ばたい)が馬超と韓遂に、曹操軍が渭水を渡ったことを伝える。船で木材を運び入れ、陣営を築くようだとも。

馬岱は先の第60話(04)で既出の人物だが、字幕による紹介があったのは初めてだと思う。

馬超と韓遂の意見が一致。持久戦を避けるため、曹操が陣営を築く前に夜襲を仕掛けることにする。

(04)曹操の軍営

曹操のもとに、西涼軍が渡し場を襲い、運んできた木材をすべて焼き払ったとの知らせが届く。

曹操は全軍を3つの部隊に分け、ひとつの部隊を敵の襲撃に備えさせたうえ、残りふたつの部隊に土城(どじょう)を築くよう命ずる。

ところがこの地は砂地だったため、うまく土城を築くことができず、翌朝には壁が崩れてしまう。

ここで曹仁(そうじん)が曹操に、「わが3万の兵が、ひと夜かけ必死に土城を築けど、夜が明けるとすべて倒壊しておりました」と言っていた。全軍を3つに分けたうちのふたつの部隊が土城造りにあたったのなら、3万という数は少ないのでは?

程昱(ていいく)が曹操に、囮(おとり)の部隊を残して渭水の南に撤退するよう進言。しかし曹操は、すでに大半の船が焼き払われてしまったことを指摘し、10万もの大軍の渡河は困難だと否定する。

馬超が軍勢をひきいて攻め寄せ、曹操の命を受けた曹仁らが応戦する。

曹操は水も凍りそうだという程昱の言葉で閃(ひらめ)き、子(ね)の刻(午前0時ごろ)を過ぎた後、築いた土壁に水をかけて凍らせるよう命ずる。

翌日、馬超と韓遂が氷の城に攻め寄せたものの、凍った壁には矢が通じなかった。

許褚と馬超が城の前で一騎討ちを行う。ふたりは数百合にわたって戦うも決着はつかず。馬を替えて一騎討ちを続ける。

やがて曹操は、徐晃の部隊が敵の後方に到着したことを確認。曹仁に決戦を告げる。

(05)馬超の軍営

敗れた馬超は再戦を望むが、韓遂は曹操との和睦を勧める。結局、馬超も韓遂の考えに従う。

ここで馬超が皆に「兵を2万も失った」と言っていた。戦闘シーンがなかったので、馬超が挟撃に遭って大敗したことがわかりにくい。また、字幕による紹介はなかったものの龐徳(ほうとく)が登場していた。

(06)曹操の軍営(氷の城)

曹操のもとに韓遂から和睦を求める書状が届く。曹操は夏侯淵に命じ、韓遂に「明日、わが軍の陣の前で会おう」と伝えさせる。

翌日、曹操は両軍が見守る中、城の前でわざと韓遂と長話をする。その様子を離れて見ていた馬超だったが、自陣に戻った韓遂が、曹操とは昔の話をしただけだと言ったため疑念を抱く。

曹操が大部分を墨で塗りつぶした書状を作り、韓遂に届けさせる。

(07)韓遂の軍営

韓遂が馬超に、曹操から届いた書状を見せる。馬超は墨で塗りつぶされた書状を見て、韓遂への疑念を深める。

(08)曹操の軍営(氷の城)前

翌日、韓遂は疑いを晴らすべく、馬超らとともに城の前まで行き、曹操を城内からおびき出そうとする。

ところが曹操の代わりに夏侯淵が現れ、韓遂に意味ありげな言葉を伝えて戻っていく。これを見た馬超は韓遂が裏切ったと決めつける。

管理人「かぶらがわ」より

一度は馬超に敗れたものの、氷の城で盛り返した曹操。

曹操の塗りつぶし書状作戦は巧妙なものでした。こういった策は才能と信頼を兼ね備えた軍師がいないと見破れませんね。

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記事作成にあたり参考にさせていただいた各種文献の詳細は三国志の世界を理解するために役立った本(参考文献リスト)をご覧ください。

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