秭帰(しき)の陥落に続き、夷陵(いりょう)が蜀軍(しょくぐん)に包囲されていると聞いた呉(ご)の孫権(そんけん)は、10万の軍勢を夷陵へ向かわせる。
この知らせがもたらされると、蜀将の黄忠(こうちゅう)は劉備(りゅうび)の許しを得て富池口(ふちこう)へ向かい、自ら呉軍をおびき寄せるための囮(おとり)になった。
第79話の展開とポイント
(01)建業(けんぎょう)
諸葛瑾(しょかつきん)が孫権のもとに戻り、劉備が和睦を拒んだことを報告する。
孫権が次の策を尋ねると、諸葛瑾は曹丕(そうひ)への投降を進言。いったんは腹を立てた孫権だったが、しばらく考えさせてほしいと応ずる。
(02)魯粛墓(ろしゅくぼ)
孫権が張昭(ちょうしょう)に、諸葛瑾が曹丕への投降を進言したことを話す。
★魯粛の墓の右にもうひとつ同じような墓があった。誰の墓だろうか?
張昭も諸葛瑾に賛同し、使者として趙咨(ちょうし)を薦める。孫権は趙咨の派遣を認めた。
(03)曹魏(そうぎ) 洛陽(らくよう)
趙咨が曹丕に謁見し、孫権の投降を申し入れる上奏文を差し出す。その一方、曹丕の前で孫権の聡明さを語り、使者として高く評価される。
★ここで趙咨が曹丕に、かつて濡須口(じゅしゅこう)で曹操(そうそう)が孫権と対峙(たいじ)した際、曹操が「孫権のごとき息子がほしい」と言った話を持ち出していた。また、このとき趙咨が孫権のことを「わが呉侯(ごこう)」と称していた。すでに呉王っぽい設定を見せていたのに混乱があるようだ。
曹丕は孫権の降伏を受け入れ、呉王に封じて九錫(きゅうせき)を授ける。
★なお、ここでは趙咨の字幕による紹介がなかった。
(04)洛陽宮(らくようきゅう)
司馬懿(しばい)が曹丕から尋ねられ、今回の戦いは蜀が呉に勝つだろうとの見立てを話す。
曹丕は蜀を攻めず、呉も救わず、座して眺め、機を見て動くという方針で臨む。司馬懿もこの方針をたたえる。
(05)敗走中の孫桓(そんかん)
秭帰城で大敗した孫桓が、朱然(しゅぜん)とともに残兵をひきいて夷陵城へ向かう。
(06)秭帰
劉備のもとに、孫権が曹丕に投降して呉王に封ぜられ、九錫を授けられたとの知らせが届く。これに続き、孫桓が4万の残兵をひきいて夷陵城へ入り、守りを固めているとの知らせも届く。
劉備は張苞(ちょうほう)に3万の兵を預け、夷陵城を攻めるふりをするよう命ずる。その狙いは、呉の援軍を夷陵へ引き寄せることにあった。
(07)建業
孫権のもとに曹丕の詔(みことのり)が届く。呉王に封じ九錫を授けるというもの。ところが漢中(かんちゅう)を攻める話には触れられておらず、孫権を失望させた。
続いて孫権のもとに、孫桓から血でしたためた書状が届く。この書状の中で孫桓は、秭帰城を失ったことを謝罪したうえ、4万の兵をひきいて夷陵城を守り、城と定めをともにする覚悟を述べる。
また、諸葛瑾が孫権に偵察兵からの情報として、張苞が夷陵城を厚く包囲し数万の軍勢で攻め続けているが、城は陥せていないと伝える。
孫権は韓当(かんとう)を大将、周泰(しゅうたい)を副将とし、先鋒を潘璋(はんしょう)、甘寧(かんねい)と凌統(りょうとう。淩統)を後詰めに、総勢10万の援軍を夷陵へ向かわせる。
ここで程普が、秭帰より脆(もろ)いはずの夷陵が何日経っても陥されないのは、きっと何かの企みだと進言。しかし孫権は聞き入れず、改めて夷陵への援軍派遣を宣言する。
(08)柴桑(さいそう)
出陣の準備を進めていた韓当のもとに、陸遜(りくそん)が川辺で髪を振り乱して泣いているとの知らせが届く。
陸遜は皆に、「こたび出立したら、二度と戻っては来られぬであろう……」と訴えていた。様子を見に来た韓当は、陸遜を捕らえて孫権に引き渡す。
(09)秭帰
劉備のもとに、孫権が10万の兵を夷陵へ向かわせたとの知らせが届く。
黄忠が劉備に呉軍を富池口へおびき寄せるよう進言し、自分が囮になると申し出る。初めは難色を示した劉備だったが、黄忠の思いを聴いて進言を容れる。
★ここで劉備が黄忠に「そなたは齢75……」と言っていた。
(10)行軍中の呉軍
周泰が程普も病を押して従軍していることに気づき、彼が乗る馬車の御者を買って出る。
(11)柴桑
幽閉された陸遜が、食事を運んできた兵士に孫権の所在を尋ねたものの、何の返答も得られなかった。
(12)黄忠軍
黄忠が南の砦への攻撃を命ずる。韓当が周泰の進言を容れ、砦から出撃する。
黄忠は呉軍に押されているとの報告を聞き、撤退を命ずる。
(13)劉備軍
劉備のもとに、黄忠が呉軍を砦からおびき出し、富池口へ向かっているとの知らせが届く。
(14)富池口付近
黄忠が馬を止め、先鋒の部隊に呉軍が追いつける速さで進むよう命ずる。
(15)富池口
韓当が周泰に伏兵の可能性を指摘し、黄忠の追撃をやめる。
(16)富池口付近
黄忠のもとに、呉軍が追うのをやめ、今は矢を放っているだけだとの知らせが届く。黄忠は軍旗を掲げさせ、富池口へ引き返すよう命ずる。
(17)富池口
黄忠は何本も矢を受けるが、呉軍への攻撃を続ける。韓当は黄忠が負傷しているのを見て周泰とともに突撃。そのとき谷の両側から伏兵が現れ、木や石を落とし始める。
管理人「かぶらがわ」より
劉備の猛攻を受け、ついに曹丕に降る孫権。本心からではないにせよ、これはかなりの屈辱ですね。
そして、ここまで頑張ってきた黄忠が大ピンチ。75歳になっても戦場に出ているなんて、まったくスゴい人だな……。
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