徐庶(じょしょ)は、投獄されたという母からの書状を本物と信じ込み、劉備(りゅうび)のもとを離れて許都(きょと)へ向かう。
劉備らとの別れ際、徐庶は襄陽(じょうよう)郊外の隆中(りゅうちゅう)に住む、臥竜先生(がりょうせんせい)こと諸葛亮(しょかつりょう)の話をする。
第32話の展開とポイント
(01)許都
曹操(そうそう)が曹仁(そうじん)を主将、李典(りてん)を副将とし、5万の精鋭をひきいて樊城(はんじょう)へ向かうよう命ずる。
曹操は、ふたりに荊州(けいしゅう)各郡を見張らせたうえ、後の命令を待たせて新野(しんや)を攻略するつもりだった。
(02)樊城
曹仁と李典が軍勢をひきいて到着。曹仁は李典の諫言を聞き入れず、曹操の命令を待つことなく即座に軍勢を動かし、新野へ攻め寄せる。やむなく李典も従う。
(03)新野
曹仁が軍勢をひきいて到着し、八門金鎖(はちもんきんさ)の陣を布(し)く。
徐庶は皆に曹仁の陣形について説明したうえ、その攻略法を伝え、趙雲(ちょううん)に出撃を命ずる。
★この説明をする前、徐庶が劉備に、自分は樊城に登ったことがあり、城楼の西の隅に大きな霊芝(レイシ。キノコの一種。おめでたい植物)が生えていたことを話していた。
趙雲が曹仁の陣形を乱した後、劉備自ら関羽(かんう)や張飛(ちょうひ)とともに出撃し、負傷した曹仁は撤退を命ずる。
(04)曹仁の軍営
その夜、李典は樊城への撤退を勧めるが、曹仁は劉備の裏をかき、新野に夜襲をかけると伝える。やむなく李典も従い、5千の兵をひきいて曹仁の後方に続く。
(05)新野
徐庶が皆に曹仁が夜襲してくることを伝え、張飛と趙雲に1万の兵をひきいさせ、樊城と新野の間にある蛇口(じゃこう)の前後で待ち伏せするよう命ずる。
さらに、徐庶は関羽に「樊城へ霊芝を取りに行ってきてください」と言い、8千の兵を預けて樊城の攻略を命じた。
(06)蛇口 ※樊城と新野の間にある谷
曹仁が徐庶に夜襲を読まれ、待ち伏せしていた趙雲らに敗れる。
(07)樊城
曹仁が樊城まで引き揚げてくると、すでに関羽に城を奪われていた。曹仁は残兵をひきいて許都へ向かう。
(08)新野
劉備のもとに、張飛と趙雲が蛇口で大勝したとの報告が届く。敵の死者は2万で、多くの兵器などを奪ったとも。
続いて劉備のもとに、曹仁が100騎足らずの兵をひきいて許都へ逃げたとの報告も届く。
さらに劉備のもとに、関羽が樊城を取り、城内の兵糧20万石(ごく)と銅銭10万を手中に収めたとの報告とともに、例の霊芝も届けられる。
★霊芝がかなり大きく、両手で持つほどあった。この設定でいいのだろうか?
(09)許都
曹仁と李典が戻り、自分たちの体を縄で縛って曹操に処罰を乞う。李典は曹操に尋ねられ、八門金鎖の陣を破ったのは徐庶だと話す。
曹操が皆に徐庶について尋ねると、荀彧(じゅんいく)が応じ、自分より数倍ないし数十倍は優れた人物だと語る。
★ちなみに吉川『三国志』(第127話)や『三国志演義』(第36回)では、徐庶について語るのは荀彧ではなく程昱(ていいく)。
(10)新野
徐庶のもとに、許都で投獄されたという母から書簡が届く。徐庶は劉備に許都行きを懇願し、何とか許しを得る。
(11)新野の郊外
別れ際の徐庶が劉備に、襄陽郊外の隆中という地に類いまれな才を持つ者が住んでいることを話し、それが臥竜先生と号している諸葛亮だと明かす。
★「臥竜と号している」としておけばよかったのに、「臥竜先生と号している」というセリフになっていた。諸葛亮自身が先生を自称しているみたい……。
(12)許都
徐庶が到着し、三日三晩も立ち尽くしていた曹仁の出迎えを受ける。
★曹仁が曹操に徐庶の出迎えを命ぜられたのは、先の敗戦の罰ということになっていた。
徐庶は曹操に拝謁した後、客殿で母と再会。徐庶の母は息子を叱り、主君の劉備を捨てて許都へ来たことを責める。
★ここでのやり取りから、徐庶は母の書簡が偽物だとわかったうえで許都へ行った、という設定であることがわかる。
★また、その後の徐庶についてはナレーションで、「徐庶は生ける屍(しかばね)と化し、生涯曹操のために策を講じることはなかった。曹操に降った後、ひと言も発しなかったことは、後の世の語り草となった」と伝えていた。
これはどうなのだろう? ドラマではこういう設定にしただけなのか……。前段はいいとしても、ひと言も発しなかったというのは『三国志演義』などに比べても踏み込んだ表現になっている。
徐庶の母が自害する。
★これについても、母の悲鳴だけで自害したことを視聴者に伝えるのは難しいと感じた。『三国志演義』の筋立てを知らない視聴者にはわかりにくいだろう。
管理人「かぶらがわ」より
大活躍の徐庶が、あっと言う間に去っていった第32話。置き土産に諸葛亮の情報を残すところがまた……。とにかく諸葛亮の登場が近いことは伝わってきましたけど。
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記事作成にあたり参考にさせていただいた各種文献の詳細は三国志の世界を理解するために役立った本(参考文献リスト)をご覧ください。
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