下邳(かひ)を守っていた関羽(かんう)は曹操(そうそう)配下の程昱(ていいく)の策にかかり、劉備(りゅうび)らと合流するべく城を出て芒碭山(ぼうとうざん)へ向かう。
その後、山のふもとを曹操の大軍が取り巻く様子を見てすべてを悟るが、3つの約束を交わしたうえで漢帝(かんてい。献帝〈けんてい〉)に降伏する道を選ぶ。
第23話の展開とポイント
(01)徐州(じょしゅう)の郊外
劉備が許攸(きょゆう)の勧めに従い、袁紹(えんしょう)のもとに身を寄せる。
(02)冀州(きしゅう)
袁紹が本陣から10里先まで進んで劉備を出迎える。
(03)徐州
曹操が入城し、投降兵3万の収容と袁紹の援軍が徐州の30里手前で引き返したこと、さらに小沛(しょうはい)も手中に収めたとの報告を受ける。
残るは関羽の守る下邳だけとなるが、曹操は皆に、関羽を帰順させたいとの意向を伝える。
そこで程昱は曹操に、関羽を一度窮地に追い込んだ後、彼の忠心を逆手に取るという策を献ずる。
(04)下邳
関羽が城内に収容した張飛(ちょうひ)配下の負傷兵たちから、劉備が芒碭山で援軍を待っているとの話を聞く。
関羽は孫乾(そんけん)の制止を振り切って芒碭山へ向かうが、曹操軍に包囲され身動きが取れなくなる。
(05)芒碭山のふもと
曹操が関羽と親交がある張遼(ちょうりょう)を遣わし、関羽に投降を勧めるよう命ずる。このとき程昱は張遼に、3つの罪を問うことで関羽を説得する策を授ける。
(06)芒碭山
張遼が関羽に会い、曹操が下邳を奪還したことを伝える。そして関羽に、「そなたがここで死ねば、すなわち3つの罪となる」と告げる。
★ここで張遼は関羽に、「桃園での契りを破ることになる」「劉備から託されたふたりの夫人を守り通せないことになる」「漢の再興を果たす前に死ぬことになる」というような3つの罪を指摘していた。
また張遼は関羽に、「死ぬのは罪だが、生きれば利を得る」とも告げる。
★ここで張遼は関羽に、「劉備のふたりの夫人の身は安泰になる」「『桃園の誓い』を破らずに済む」「将来、漢を助け、英雄として名を残せる」というような3つの利を指摘していた。
関羽は張遼に、投降にあたり3つの条件を提示する。
★ここで関羽は張遼に、「曹操ではなく漢帝に降伏するということ」「劉備の夫人たちを手厚く守ること」「長兄(劉備)の行方がわかり次第、辞去するのを許すこと」というような3つの条件を提示していた。
(07)芒碭山のふもと
曹操のもとに張遼が戻り、関羽が提示した3つの条件を伝える。曹操はすべての条件を承諾したうえで軍勢に撤退を命じ、関羽を下邳城へ戻す。
(08)下邳
いったん城に戻った関羽が、約束通り曹操に帰順する。
(09)江東(こうとう)
孫策(そんさく)と周瑜(しゅうゆ)が、竹林から聞こえた大喬(だいきょう)の箏(そう。琴)の音に引かれる。ふたりは奏者を捜そうとするが、このときは見つけられなかった。
(10)喬国老邸(きょうこくろうてい)
数日後、孫策と周瑜が喬国老を訪ね、娘の大喬・小喬(しょうきょう)姉妹に会う。
★この時点で喬国老邸としていたのはフライングだろう。単に喬氏邸などとしたほうがよかったかもしれない。なお、大喬・小喬姉妹の父が喬国老(喬公)だというのは、『三国志演義』の設定を踏襲しているものと思われる。
(11)孫策の軍営
孫策が周瑜に、おのおの大喬と小喬を娶(めと)ろうと持ちかけて周瑜も同意。その後、大喬は孫策に、小喬は周瑜に、それぞれ嫁ぐことになる。
(12)許都(きょと) 関羽邸
曹操が端午の節句に際し、関羽に金50両、玉3つ、銅銭3千両、絹織物20反、美女10名を贈る。
★下邳に一緒にいた流れで、孫乾も関羽とともに許都へ来ていた。吉川『三国志』や『三国志演義』では関羽がひとりで劉備の二夫人を守り、苦労していた印象が強い。孫乾も同行したという設定なら、いくらか関羽の心証は割り引かれる。
(13)丞相府(じょうしょうふ)
曹操が、自分の飲食していた肉料理や酒も関羽に届けるよう命ずる。
(14)関羽邸
張遼が関羽を訪ねる。関羽は張遼に、曹操の厚遇に対して功を立てておらず、心苦しいと打ち明ける。
(15)丞相府
張遼が曹操に関羽の様子を報告する。
(16)許都の郊外
曹操が狩りを催し、関羽を招く。
管理人「かぶらがわ」より
曹操に惨敗した劉備は袁紹のもとへ。投降した関羽は曹操のもとへ。「3」にこだわった展開が興味深かったです。あとは大喬と小喬の登場でしょうか。
それにしても、曹操の関羽の厚遇ぶりがスゴかった……。
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