『三国志 Three Kingdoms』の考察 第20話「劉備、命を受ける(りゅうび、めいをうける)」

曹操(そうそう)の凱旋(がいせん)に付き従う形で許都(きょと)へ来た劉備(りゅうび)。

人目につかぬよう内宮(ないくう)の厠(かわや)で献帝(けんてい)に拝謁した際、これまでの無念な思いを聞かされる。

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第20話の展開とポイント

(01)許宮(きょきゅう) 宮門

劉備が衛兵に通行を拒まれたものの、一喝して通る。

(02)許宮 内宮

劉備が厠で献帝に拝謁する。献帝は劉備にこれまでの無念な思いを打ち明ける。

内宮について、字幕では「ないぐう」とあった。基本的にはドラマのルビを使うようにしているが、ここは「ないくう」としておく。

ここで(曹操の手の者に話を聞かれる危険がない)安全な場所として厠が出てきたのは新味。

ここで献帝が劉備に、「董承(とうしょう)の機転で、やっとの思いで逃げ延びて長安(ちょうあん)にたどり着いたが……」と言っていた。だが、そのとき献帝は李傕(りかく)と郭汜(かくし)から逃げ延びたわけだから、たどり着いたのは長安ではなく洛陽(らくよう)だろう。

(03)許宮 宮門

劉備が再び衛兵に呼び止められ、身体検査を求められる。劉備はまた一喝するが、衛兵に懇願されてやむなく従う。

(04)許宮 内宮

献帝が自らの血で密旨をしたため、董貴妃(とうきひ)に命じて玉帯に縫い込ませる。

(05)功臣閣

献帝が董承を伴い先祖に拝礼する。この動きはすぐに丞相府(じょうしょうふ)の曹操に伝わる。

献帝は礼拝を終えると、その場に玉帯を残して立ち去り、気づいた董承が持ち帰る。

董承の帰り際に曹操が現れ、自身の拝礼に同席を求める。

曹操は董承が献帝から玉帯を賜ったことを聞き、見せてもらう。曹操は譲ってくれと言いだし、やむなく董承も応ずる。結局、曹操は笑って玉帯を返した。

このシーンでは董承が玉帯を身に着けていたが、これは無礼な行為なのでは? 曹操も玉帯を着けていたが、それは別の意図を表す行為なので……。

(06)左将軍府(さしょうぐんふ)

劉備が畑仕事をしていたところ、董承が訪ねてくる。董承は劉備に献帝の血書を見せる。

董承が帰った後(別の日か)、曹操が許褚(きょちょ)らを遣わし劉備を招く。

(07)丞相府

曹操が劉備と梅を愛(め)で、酒を酌み交わす。

このとき曹操は劉備に、袁術(えんじゅつ)討伐の折に兵士たちの喉の渇きを忘れさせた梅林の一計の話や、自身が寝ていながら人を殺せるとのうわさを流した話などをしていた。

曹操が劉備に、天下の英雄について問う。

劉備は、袁術・袁紹(えんしょう)・劉表(りゅうひょう)・劉璋(りゅうしょう)・孫策(そんさく)・馬騰(ばとう)・張繡(ちょうしゅう)・韓遂(かんすい)の名を挙げる。

曹操はそれらの人物をみな退け、「天下の英雄は、そなた劉備と曹操だけ」と言い切る。

このドラマでは張繡に触れていない。ここで名を挙げても大丈夫なのだろうか?

ここで曹操は連合軍時代の話もしていたが、「我らは西涼(せいりょう)の勇将華雄(かゆう)に攻められ、連合軍は将軍3人を失った」と言っていた。

しかし華雄に討ち取られたのは、先の第3話(03)の袁術配下の兪渉(ゆしょう)と、続く第4話(01)の韓馥(かんふく)配下の潘鳳(はんほう)のふたりだけ。このふたりが討ち取られた後、関羽が華雄を討ち取っていた。曹操は失った将軍は3人だと言っていたが、3人目は誰のことだろうか?

突然の雷鳴に劉備が箸を落とす。

ここで荀彧が曹操に、公孫瓚(こうそんさん)が袁紹に敗れたことを知らせる。荀彧は劉備から尋ねられ、公孫瓚の最期についても話す。

(08)許宮

献帝が曹操の上奏を容れ、袁紹をゴコク侯(?)に封じて九錫(きゅうせき)を授けたうえ、大都督(だいととく)に任ずる。

その朝議の場に報告が届く。袁術が袁紹に伝国璽(でんこくじ)を贈り、帝位を譲るようだというもの。すでに袁術は伝国璽を手に、冀州(きしゅう)へ移動中だとも。

劉備が献帝に袁術討伐を願い出て許され、曹操は5万の兵馬を貸す。ただし、この兵馬は自分の配下である朱霊(しゅれい)と路招(ろしょう)の管轄下に置くことも付け加えた。

(09)許都

劉備が徐州へ出陣する。董承は郊外で見送り、献帝の意向を伝える。

(10)丞相府

曹操が程昱(ていいく)に諫められ、張遼(ちょうりょう)と許褚に500の騎兵を預け、劉備を連れ戻すよう命ずる。

ここでは張遼がチュウ将軍、許褚がヘイ将軍ということになっていた。このふたりの将軍号もよくわからなかった。

管理人「かぶらがわ」より

衝撃的な厠での謁見と献帝の血詔。また、曹操が劉備を招いた梅園でのやり取りには緊迫感がありました。

そして曹操の檻(おり)から逃れる劉備。再び話が動きだした感じですね。

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記事作成にあたり参考にさせていただいた各種文献の詳細は三国志の世界を理解するために役立った本(参考文献リスト)をご覧ください。

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