『三国志 Three Kingdoms』の考察 第36話「長坂坡の戦い(ちょうはんはのたたかい)」

再び新野(しんや)を襲った曹操軍(そうそうぐん)に対し、劉備(りゅうび)は城を捨てて敗走する。

曹操は5千の鉄騎をひきいて追撃にかかり、長坂坡(ちょうはんは)で劉備軍と激戦を繰り広げるが――。

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第36話の展開とポイント

(01)西暦208年 襄陽(じょうよう)

曹操が蔡瑁(さいぼう)を朝廷の将軍とし、コウネイ侯(?)に封ずる。さらに水軍の大都督(だいととく)に任ずる。

曹操が、劉琮(りゅうそう)と母の蔡氏に許都(きょと)行きを命ずる。

このとき曹操から荊州(けいしゅう)の兵力について尋ねられた劉琮が、「騎馬兵5万、歩兵10万、水兵18万を有しており、さらに1年分の兵糧と金銀が江夏(こうか)にあります」と答えていた。

曹操のもとに曹仁(そうじん)らが戻り、新野の攻略と劉備の敗走を伝えたうえ、新野では火攻め、博陵(はくりょう)では水攻めを受け、3~5万の兵を失ったとも報告する。

新野城での火攻めや博陵の渡しでの戦闘シーンがなかったのは残念。

曹操自ら鉄騎5千をひきい、劉備の追撃に乗り出す。

(02)行軍中の劉備

諸葛亮(しょかつりょう)が劉備に、民を捨てて全速で江夏へ向かうよう進言する。だが、劉備は聞き入れなかった。そこで諸葛亮は関羽(かんう)を江夏へ急行させ、劉琦(りゅうき)に加勢を頼むよう命ずる。

(03)西暦208年 長坂坡の戦い

曹操軍が劉備軍に追いつく。趙雲(ちょううん)は乱戦の中で甘夫人(かんふじん。劉備の夫人)を見つける。続いて趙雲は夏侯恩(かこうおん)から青釭剣(せいこうけん)を奪う。

ここでは趙雲が夏侯恩を討ち取ったようには描かれていなかった。

劉備が糜芳(びぼう)から、曹操が数千の鉄騎をひきいて迫っているとの報告を受ける。そこで張飛(ちょうひ)が迎撃に向かい、劉備を先に行かせる。

趙雲が糜夫人(びふじん。劉備の夫人)と劉備の息子を見つける。しかし糜夫人は、趙雲との共倒れを避けるため井戸に身を投げる。

(04)長坂橋

張飛は配下の兵士を後方に下げると、旗と土煙で伏兵がいるように見せかける。

(05)長坂坡

趙雲が劉備の息子を懐にくくりつけたまま、単騎で曹操軍の重囲を突破する。

ここは見せ場だが、趙雲の戦いぶりが尋常でなかった。さすがにやりすぎに見える。

趙雲は張飛の立ちふさがる長坂橋を渡り、劉備のもとに息子を連れ帰る。劉備は息子を放り出し、趙雲に危険な目に遭わせたことを詫びる。この様子に感じ入った趙雲は、改めて劉備に忠誠を誓う。

(06)長坂橋

張飛が単騎で立ちふさがり、やってきた曹操と対峙(たいじ)する。曹操は張飛の名を聞き、かつて関羽が話していた勇猛ぶりを思い出す。

この関羽がらみのネタはきちんと使ってあった。ただ、ここで張飛が一喝すると、曹操の部将(兵士かも)のひとりが血を吐いて落馬。何だかなぁ……。

曹操は張飛の後方に伏兵の存在を感じ取り、長坂橋からの撤退を命ずる。これを見た張飛は、橋を破壊したあと劉備に合流する。

劉備に合流した張飛が諸葛亮から、長坂橋の後方で土煙を立たせたことは褒められたものの、橋を壊してきたことは注意されていた。

(07)河畔にたどり着いた劉備

劉備らが河畔に追い詰められていたところへ、ちょうど劉琦の船団が現れる。劉備は駆けつけた劉琦の船に乗り込み、曹操の追撃をかわした。

ここでは川の名に触れていなかったので、こういう表記(河畔)でぼやかした。ただ、次の第37話(02)では曹操が「漢津口(かんしんこう)」の名を出している。

管理人「かぶらがわ」より

趙雲尽くしの第36話。とにかく趙雲の奮闘ぶりが際立っていました。しかし、このとき命を救われた若君が、ねぇ……。

劉琮を追い出し、あっさり荊州の実権を掌握した曹操。劉備はいつも仁義を唱えますが、そのせいで周囲には苦労をかけていますね。

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記事作成にあたり参考にさせていただいた各種文献の詳細は三国志の世界を理解するために役立った本(参考文献リスト)をご覧ください。

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