夏侯惇(かこうとん)

【姓名】 夏侯惇(かこうとん) 【あざな】 元譲(げんじょう)

【原籍】 沛国(はいこく)譙県(しょうけん)

【生没】 ?~220年(?歳)

【吉川】 第025話で初登場。
【演義】 第005回で初登場。
【正史】 登場人物。『魏書(ぎしょ)・夏侯惇伝』あり。

曹操(そうそう)の従兄弟ともいう。戦場で左目を失うも「大将軍(だいしょうぐん)」まで昇る

父母ともに不詳。夏侯廉(かこうれん)は弟。夏侯淵(かこうえん)は族弟(いとこ。一族の同世代の年少者)。息子の夏侯充(かこうじゅう)は跡継ぎ。夏侯楙(かこうぼう)・夏侯子臧(かこうしそう)・夏侯子江(かこうしこう)も同じく息子。ほかに息子がいたような記述もある。

夏侯惇は漢(かん)の高祖(こうそ。劉邦〈りゅうほう〉)に仕えた夏侯嬰(かこうえい)の後裔(こうえい)にあたる。

14歳の時、自分が就いていた学問の師を侮辱した男を殺害。この事件により激しい気性の持ち主として有名になった。夏侯惇は曹操の挙兵(184年)当初から「裨将(ひしょう。副将)」として討伐に付き従う。

190年、曹操が反董卓(とうたく)連合軍に参加し「行奮武将軍(こうふんぶしょうぐん)」となった際、夏侯惇は「司馬(しば)」として別に白馬(はくば)に駐屯した。のち「折衝校尉(せっしょうこうい)」に昇進し「東郡太守(とうぐんのたいしゅ)」を兼ねる。

193年、曹操が徐州(じょしゅう)の陶謙(とうけん)の討伐に乗り出すと、夏侯惇は後にとどまり濮陽(ぼくよう)を守った。

翌194年、再び曹操が陶謙討伐に赴いた際、張邈(ちょうばく)と弟の張超(ちょうちょう)が陳宮(ちんきゅう)らと結託して背く。張邈らは呂布(りょふ)を「兗州牧(えんしゅうのぼく)」として迎えた。

夏侯惇は曹操の家族がいる鄄城(けんじょう)へ向かったものの、途中で呂布と出くわしたため交戦。呂布は引いて濮陽へ入り、夏侯惇の輜重(しちょう)を奪った。

この後、呂布は部将を派遣し降伏すると見せかけ、夏侯惇を人質に取り財宝を要求。夏侯惇は配下の韓浩(かんこう)の働きで救出された。

曹操が徐州から帰還すると、夏侯惇は呂布討伐に付き従ったが、戦場で流れ矢に当たり左目を負傷した。

のち「陳留太守(ちんりゅうのたいしゅ)」や「済陰太守(せいいんのたいしゅ)」を務め、「建武将軍(けんぶしょうぐん)」に任ぜられたうえ「高安郷侯(こうあんきょうこう)」に封ぜられた。

当時、大干ばつとイナゴによる虫害がひどかったので、夏侯惇は太寿(たいじゅ)の河をせき止める堤を築く。このとき夏侯惇が自ら土を担ぎ、部将や士卒をひきいて稲を植えるよう指導し、民衆はその恩恵を被った。

「河南尹(かなんのいん)」に転ずると、曹操の河北(かほく)平定戦に後詰めとして従軍。

204年、鄴(ぎょう)が陥落すると「伏波将軍(ふくはしょうぐん)」に昇進し、もとのまま「河南尹」を兼ねた。さらに夏侯惇は法令に拘束されることなく、自己の判断で適宜な処置を取ることが許された。

207年、朝廷から前後の功績が採り上げられ1800戸の加増を受ける。以前と合わせ、封邑(ほうゆう)は2500戸となった。

216年、曹操の孫権(そんけん)討伐に従軍。

翌217年、曹操の帰還時、夏侯惇は26軍の総司令官に任ぜられ、居巣(きょそう)に駐留することになった。

219年、曹操が摩陂(まひ)に布陣。

夏侯惇は曹操の召しを受けると、いつも同じ車に乗って出かけ、特別な親愛と尊重を受けたという。夏侯惇は曹操の寝室まで出入りすることができ、諸将のうちに彼に比肩する者はなかった。

ほどなく「前将軍(ぜんしょうぐん)」に任ぜられ、諸軍を指揮して寿春(じゅしゅん)に帰還。召陵(しょうりょう)に軍営を移す。

220年1月に曹操が崩じ、2月に曹丕(そうひ)が跡を継ぐと、3月には「大将軍」に任ぜられる。だが、同年4月に死去。「忠侯(ちゅうこう)」と諡(おくりな)され、息子の夏侯充が跡を継いだ。

管理人「かぶらがわ」より

本伝によると、「夏侯惇は軍中にあっても、師を迎え親しく講義を聴いていた」ということです。「性格が清潔なうえつつましやかで、余分な財貨は人々に分け与え、不足の場合には役所の支給を受け、財産作りに努めなかった」とも。

小説などで描かれたイメージとも近い、頼れる存在だったらしい。

また、本伝の裴松之注(はいしょうしちゅう)に引く王沈(おうしん)の『魏書』によると、「当時、夏侯淵と夏侯惇は同じく『将軍』だったが、軍中では(ふたりを区別するため)夏侯惇を『盲夏侯(もうかこう)』と呼んだ。夏侯惇はこれを嫌がり、鏡を見るたびカッと腹を立て、鏡を地面に投げつけた」ということです。

戦場での負傷はどうしようもないとはいえ、夏侯惇も左目のことではかなりつらい思いをしていたのですね。

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