『三国志 Three Kingdoms』の考察 第53話「孫権、兵符を返す(そんけん、へいふをかえす)」

孫権(そんけん)の許しを得ずに荊州(けいしゅう)へ兵を進めた周瑜(しゅうゆ)。この件で非難されると、彼は大都督(だいととく)の兵符を返上してしまう。

だが、孫権は呉国太(ごこくたい)に諭され考え直す。そして自ら周瑜の屋敷を訪ねて謝罪し、改めて兵符を手渡した。

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第53話の展開とポイント

(01)南徐(なんじょ)

孫権から越権行為を非難された周瑜が、大都督の兵符を返上する。

孫権は魯粛(ろしゅく)に、巴陵(はりょう)へ兵符を携えた使者を遣わし、荊州へ進軍中の部隊に、引き返して待機させるよう命ずる。

ここで孫権が魯粛に「呉侯(ごこう)となって10年経つ……」と言っていた。これで少し見えてきた。どうやら孫策(そんさく)から地盤を引き継いだ時点で呉侯になったという設定らしい。孫策は史実でも呉侯に封ぜられていて、話としては問題ない。

(02)南徐 周瑜邸

周瑜が呂蒙(りょもう)に孫権の判断への不満を話す。その一方、メンツを重んずる孫権の弱点を見抜いた諸葛亮(しょかつりょう)への恨みを深める。

この南徐の周瑜邸、先の第38話(02)で出てきた柴桑(さいそう)の周瑜邸と同じものでは? やはりドラマでは、柴桑と南徐を同一の場所として扱っているようだ。

(03)南徐

孫権のもとに巴陵へ遣わした部将(賈華〈かか〉か?)が戻り、丁奉(ていほう)・徐盛(じょせい)・蔣欽(しょうきん)・甘寧(かんねい)らは撤退命令に従わず、再考を求めていると報告する。

呉国太が孫権に、周瑜に兵符を送り返して大都督を続けさせるよう促す。そして不本意ながら、娘を劉備(りゅうび)に嫁がせる考えを伝える。

ここで呉国太が孫権に「18の娘が48の年寄りに仕えることを望む母はおらぬ……」と言っていた。これで劉備と孫権の妹の年齢設定がはっきりした。

(04)南徐 周瑜邸

孫権が周瑜を訪ねて謝罪し、大都督の兵符を手渡す。

ここで孫権が周瑜に、かつて兄の孫策が長江(ちょうこう)を渡り劉繇(りゅうよう)を攻めた折、周瑜が身内を連れて従ったことを話していた。

周瑜は兵符を受け取ると、孫権にただちに劉備を捕らえて荊州へ兵を送るよう進言する。そこへ魯粛が巴陵から戻り、荊州へ向かっていた部隊が引き返したことを伝える。

孫権はあくまで劉備との戦を回避しようとする魯粛に腹を立て、賛軍都尉(さんぐんとい)の職を解く。

ここは賛軍校尉(さんぐんこうい)の誤りだと思う。

(05)南徐 魯粛邸

周瑜が魯粛を訪ねる。魯粛は家僕に、自分が着ていた貂(テン)の毛皮を質に入れ、酒と肴(さかな)に交換してくるよう言いつける。

ここで魯粛の暮らしぶりが質素な理由として、家僕が、魯粛が昨年の俸禄を赤壁(せきへき)で戦死した兵士の子どもらに分け与えたことを話していた。

周瑜は魯粛に、自分も劉家と手を携えて曹操(そうそう)に対抗するという、魯粛のやり方が正しいと思ったことがあると打ち明けたうえ、それでも天は自分に20年といった長い年月(としつき)を与えてはくれないとも語る。「それゆえ最良の道ではなく、近道を行くほかないのだ……」とも。

ここは周瑜が荊州攻略を急ぐ理由づけがうまくされていた。ポイント高し。

(06)南徐

呉国太が周瑜・張昭(ちょうしょう)・呂蒙を集め、改めて孫権を叱責したうえ、劉備を娘婿として迎える考えを伝える。

やむなく周瑜は呉国太に、明日、劉備を甘露寺(かんろじ)に招き、密かに小妹(しょうめい。孫権の妹)にその姿を見せ、気に入るか試すよう進言。呉国太も承諾する。

呉国太が孫小妹に、劉備に嫁ぐよう諭す。

ここでも劉備は48歳、孫小妹は18歳という設定であることがうかがえた。

(07)南徐 劉備の宿

魯粛が劉備を訪ね、明日、甘露寺で催される宴が周瑜の罠だと伝える。魯粛は脱出の手配まで整えていたが、劉備は南徐に留まると言う。

(08)南徐

孫権が呉国太を訪ね、小妹が劉備を気に入るか心配だと話す。呉国太は心配ないと言い、孫権を安心させる。

(09)南徐 劉備の宿

ぐっすり眠る劉備。趙雲(ちょううん)と孫乾(そんけん)は劉備の肝が据わっていると言い合う。

管理人「かぶらがわ」より

周瑜と和解する孫権。魯粛に本音を語る周瑜。ふた組の対話が味わい深い第53話でした。

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