思わぬ形で持ち上がった劉備(りゅうび)と孫権(そんけん)の妹との縁談。
それでも劉備は諸葛亮(しょかつりょう)に背中を押され、趙雲(ちょううん)らを伴い南徐(なんじょ)へ向かう。
第52話の展開とポイント
(01)襄陽(じょうよう)
諸葛亮が孫権の妹との縁組みに応ずるよう勧め、劉備も承諾する。
(02)南徐
劉備の使者として孫乾(そんけん)が着き、孫権に礼を述べる。この席で孫権は、今回の縁組みは劉備のほうの婿入りであることを告げる。
★このシーンでは、先の第38話(01)の柴桑(さいそう)と同じカットを使い回していた。南徐と柴桑は地名の改称などによる同一の場所を指しているのではなく、そもそも別の場所。こうした手抜きにはがっかりさせられる。
(03)襄陽
孫乾が南徐から戻り、孫権の意向を皆に伝える。
関羽(かんう)と張飛(ちょうひ)の反対に加え、婿入りだと聞いた諸葛亮も反対に転ずる。しかし劉備は孫権の申し出を受け入れ、南徐へ行くことを決意。
また劉備は皆に、自分が江東(こうとう)へ行った後は、荊州(けいしゅう)のすべてを諸葛亮に任せることを宣言する。
出発の前日、関羽と張飛が劉備に、劉備が不在の間に諸葛亮が荊州を乗っ取る可能性があるとの不安を伝える。
★ここで張飛が劉備に、「特に趙雲などは近ごろ妻を娶(めと)ったが、孔明(こうめい。諸葛亮のあざな)が仲人をした……」と言っていた。
劉備はふたりを厳しく叱責し、決して諸葛亮に反抗的な態度を取らないよう諭す。
その夜、劉備が諸葛亮を訪ねる。ここで劉備は、もし関羽と張飛が命令に従わなかったときは、趙雲に命じて斬り捨ててよいとの密命をしたためて手渡す。
諸葛亮は劉備の漢室(かんしつ)中興の思いを聴き、そういった密命は必要ないと燃やしてしまう。そして、劉備に趙雲を随行させるよう勧める。
★劉備の思いを引き立てようとしたのだろうが、ここでのやり取りには違和感もあった。
(04)柴桑
周瑜(しゅうゆ)に尋ねられた呂蒙(りょもう)が、甘寧(かんねい)の間諜(かんちょう)からの情報として、諸葛亮が関羽・張飛・趙雲・黄忠(こうちゅう)の兵馬を公安(こうあん)に集めており、その数が約2万であると伝える。
★直前の(03)の箏(そう。琴)を弾く諸葛亮から、この周瑜への場面転換は味があった。
周瑜は、劉備が今回の縁談を拒み次第、公安へ進軍し、一挙に荊州を取り戻すよう全軍に命ずる。
(05)襄陽
劉備が趙雲を伴い、船で南徐へ向かう。その出発前、諸葛亮は趙雲に策を入れた3つの錦の袋を手渡す。
★ここで諸葛亮が趙雲に、錦の袋は赤→黄→白の順に開けること。船が呉(ご)に入ったら初めの袋を開け、書いてある策に従うこと。さらに年の瀬になっても呉にいた場合は次の袋を開け、書いてある策に従うこと。そして、最後の袋はいざというときになったら開けることを伝えていた。
★このシーンからなのか自信はないが、趙雲に口ひげが付いた。
(06)柴桑
周瑜のもとに、劉備が早船で南徐へ向かったとの知らせが届く。
(07)長江(ちょうこう)
趙雲が赤色の錦の袋を開く。趙雲は劉備に、廬江鎮(ろこうちん)へ立ち寄って結納の品を買い求めるよう勧め、承諾を得る。
★このとき船中に孫乾の姿もあったので、彼も劉備に随行していることがわかった。また、錦の袋に入っていた諸葛亮の策は紙に書かれていたようだ。
(08)廬江鎮
趙雲が兵士を10人ずつの組に分け、黄金と銅銭を預けて派手に買い物するよう命ずる。これは劉備が婚礼のため呉に来たことを、街中に知らせるのが狙いだった。
(09)南徐
魯粛が孫権に、劉備が廬江で結納の品を買いあさっているので、街中が婚礼のうわさで持ちきりだと伝える。
呉国太(ごこくたい)が婚礼の話を知り、孫権を激しく叱責する。
★すでにドラマで「呉国太」という尊称は使われていたが、どうも引っかかる。孫権が呉の王位か帝位に即くあたりまで使わないほうがいいのでは? 呉侯国(ごこうこく)も国に違いないので、まったくの誤りとまでは言えないが……。
劉備の船が到着し、魯粛の出迎えを受ける。そこへ周瑜の命を受けた呂蒙も兵をひきいて駆けつけ、劉備を始末しようとしたものの、先に魯粛が来ていたため手を出せなかった。
続いて到着した周瑜が孫権に、劉備の動きを知り、密かに6万の軍勢を荊州に送ったことを伝える。孫権は、周瑜が断りもなく兵を動かしたとして腹を立てる。
管理人「かぶらがわ」より
周瑜の裏をかき、早々と南徐へ乗り込む劉備。自分の知らないところで進められた縁談に激怒する呉国太。周瑜の越権行為に怒る孫権。
そこかしこでピリピリムードが見られた第52話でした。荊州もね……。
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