涿県(たくけん)の城内にある問屋まで、先に納めた沓(くつ)や蓆(むしろ)の代金を受け取りに行く劉備(りゅうび)。
その帰り、黄巾賊(こうきんぞく)を討伐するための兵士を募る高札の近くで、以前に河べりで命を救ってくれた男と再会する。
第006話の展開とポイント
(01)涿県の城内
納めておいた沓や蓆の代金をもらうため、城内の問屋を訪ねる劉備。その帰り、黄匪(こうひ。黄巾賊)討伐の兵を募る高札の近くで張飛(ちょうひ)と再会する。
ふたりは町外れまで行き、池のほとりにある虹橋(こうきょう)の石欄に腰掛けて話し込む。
張飛は高札に書かれていた募兵の件を持ち出し、劉備に本心を語らせようとするが、母がいるから兵隊には出られないとの答え。しかし張飛は食い下がり、かつて礼としてもらった剣を振り、剣の声を聞かせて彼の言葉を待つ。
その様子を見た劉備は、張飛の心事が偽物でないことを認める。ついに自分は漢(かん)の中山靖王(ちゅうざんせいおう)劉勝(りゅうしょう)の後胤(こういん)で、景帝(けいてい。劉啓〈りゅうけい〉)の玄孫にあたる者だと打ち明けた。
劉備の出自を聞いた張飛は感激し、謹んで剣を返す。劉備も張飛から譲り受けていた剣を返した。そして、そのうち楼桑村(ろうそうそん)を訪ねていくという張飛と別れる。
管理人「かぶらがわ」より
思わぬところで張飛と再会した劉備。真っ正直な張飛は、劉備の出自を聞き大感激していましたけど――。これは彼の長所なのですよね!?
なお、高札の前でふたりが出会うくだりから、ようやく『三国志演義(1)』(井波律子〈いなみ・りつこ〉訳 ちくま文庫)(第1回)の筋ともつながってきます。
ここまでは吉川『三国志』の導入部と言えると思いますが、ばったり出会って意気投合したという唐突な話より、いい味付けをしてあるなと感じました。
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