曹操(そうそう)は、袁紹(えんしょう)を見限り自陣へやってきた旧友の許攸(きょゆう)を裸足で出迎える。
そして許攸から、袁紹軍の輜重(しちょう)や兵糧が烏巣(うそう)に蓄えられており、その守りが手薄であることを聴く。
第29話の展開とポイント
(01)曹操の軍営
曹操が訪ねてきた許攸を裸足で出迎える。
許攸は投降すると告げたうえ、曹操に残りの兵糧を尋ねる。しかし曹操は、もはや兵糧が1日分もないことをなかなか明かそうとしない。
★ここでの曹操と許攸のやり取りがおもしろかった。
許攸が曹操に、袁紹の輜重や兵糧がすべて烏巣に蓄えられていることを打ち明け、その守りも手薄であると伝える。
曹操は烏巣の奇襲を即決し、自ら猛将10名と精鋭5千をひきいると告げる。さらに許攸は袁紹の考えを読み、烏巣襲撃後に袁紹軍が曹操の本陣に攻め込むことを指摘する。
曹操は、一隊を本陣の近くに伏せておくとの許攸の計では生ぬるいとし、逆に官渡(かんと)の袁紹の本陣を奪う手はずを整える。
(02)烏巣
曹操が兵をひきいて到着。火を放たせる一方、袁紹軍の軍用車を使って一部の兵糧を運ばせる。
(03)袁紹の本陣
寝ていた袁紹のもとに、烏巣で火の手が上がっているとの知らせが届く。袁紹は烏巣を捨て、手薄とみた曹操の本陣を攻めるよう命ずる。
(04)曹操の本陣
翌朝、袁紹は自ら兵をひきいて攻め込むが、これに備えていた曹仁(そうじん)の反撃に遭い退却する。
(05)退却途中の袁紹
袁紹のもとに、官渡の本陣が曹操軍に攻め込まれ、もう戻ることができないとの知らせが届く。これを聞いた袁紹は血を吐いて落馬。決戦を求める息子たちの意見を退け、冀州(きしゅう)への撤退を命ずる。
その道中、袁紹の前に許攸が現れる。許攸は高覧(こうらん)や張郃(ちょうこう)らに投降を勧めたうえ、袁紹と息子たちを罵る。袁紹は許攸のいる山を攻めるよう命ずるが、ここでも伏兵の反撃を受けて兵を失う。
川のほとりにたどり着いた袁紹は無念の思いを口にし、自害しようとする。息子たちが制止したところ、袁紹は再び血を吐いて倒れる。
★ここで袁紹が皆に、「半年前に70万の大軍をひきいて出征した。それが今や100騎にも満たぬのか……」と言っていた。それにしてもひどい負けっぷり。
(06)劉備(りゅうび)の軍営
劉備のもとに、袁紹が曹操に大敗したとの知らせが届く。劉備は劉表(りゅうひょう)のもとに身を寄せようと考え、劉表の意向を探るべく孫乾(そんけん)を遣わす。
(07)荊州(けいしゅう) 襄陽(じょうよう)
劉表が孫乾と会い、劉備の申し出を聴く。蔡瑁(さいぼう)は反対したが、劉琦(りゅうき)は賛成する。結局、劉表は劉備を荊州に迎えることを決める。
劉備らが到着し、劉表の出迎えを受ける。
劉表が劉備や劉琦と3人で酒を酌み交わす。この席で劉備は劉表に曹操討伐の決起を促し、精鋭部隊をひきいて許都(きょと)を急襲するよう勧める。しかし、劉表はその意思がないと応ずる。
★ここで劉表が劉備に「わしは齢60を超え……」と言っていた。また「この荊州9郡を治めて、かれこれ十数年になる」とも。
劉表から新野(しんや)への駐屯を要請され、劉備が快諾する。
管理人「かぶらがわ」より
許攸の言葉。「曹操にそれほどの力はない。凡人の中にある恐れこそがそなたの強さを助長している。強い曹孟徳(そうもうとく。孟徳は曹操のあざな)像を完成させているのだ」は名言でした。
曹操に敗北を重ねた袁紹。天下の大勢ここに決す。その一方、劉備は荊州へ入り、今後の新展開を予感させていました。
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記事作成にあたり参考にさせていただいた各種文献の詳細は三国志の世界を理解するために役立った本(参考文献リスト)をご覧ください。
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