『三国志 Three Kingdoms』の考察 第34話「孫策、孤を託す(そんさく、こをたくす)」

江東(こうとう)で地盤を固めた孫策(そんさく)だったが、狩りの途中で刺客に襲われ、その傷が癒えぬまま急死してしまう。

弟の孫権(そんけん)が遺命を受けて跡を継ぎ、周瑜(しゅうゆ)をはじめとする重臣たちも、孫策の霊前で若き孫権を支えることを誓う。

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第34話の展開とポイント

(01)臥竜岡(がりょうこう)

劉備(りゅうび)と諸葛亮(しょかつりょう)の対話が続く。

ここで諸葛亮が劉備の前で床に地図を広げ、西蜀(せいしょく)へ行っていたことを話していた。

劉備は出廬(しゅつろ)を懇願し、ついに諸葛亮が応ずる。

この後、前の第33話(09)から続く劉備と諸葛亮とのやり取り、いわゆる「隆中対(りゅうちゅうたい)」をナレーションでまとめていた。

(02)西暦200年 江東

狩りに来ていた孫策が刺客に襲われ、重傷を負う。

ここでいきなり場面転換し、8年もさかのぼった。これはわかりにくいのでは?

孫権のもとに、孫策が重傷を負ったとの知らせが届く。

(03)呉郡府(ごぐんふ)

孫権が重体の孫策から江東の兵符を受け取る。

この後、孫権が膝を折っている群臣に「面を上げよ」と声をかけるシーンがあった。「面を上げよ」と言っただけなのに、皆が(面を上げるだけでなく)立ち上がってしまうのはおかしい。ここのセリフは「みな立つのだ」などとしたほうが、より自然だったと思う。

孫策が妻の大喬(だいきょう)に別れを告げ、ほどなく亡くなる。

孫策が大喬との会話の中で、息子の孫紹(そんしょう)のことに触れていた。正史『三国志』には孫紹が登場するが、吉川『三国志』や『三国志演義』には登場しない。このドラマで孫紹に触れていたのは新味だった。

(04)西暦200年 孫策死去

一部の家臣が、大喬に江東を取り仕切るよう要請する。

ここで孫権ではなく、孫策の嫡男である孫紹が跡を継ぐべきだ、という意見もあったことに触れていたのも新味。

孫策の弔問に訪れた張昭(ちょうしょう)が、大喬に孫紹を連れて出ていくよう要請する。

張昭が大喬との会話の中で、「先君の孫策さまは孫権さまに禅譲なさいましたが……」と言っていた。一地方にすぎない江東を治める孫家の家督を譲っただけなので、これを「禅譲」と表現したのは不可解。

また、ここで孫策の位牌が映っていたが、この時点で長沙桓王(ちょうさかんおう)という諡号(しごう)が贈られているのもおかしい。この諡号は、孫権が帝位に即いた直後の黄龍(こうりょう)元(229)年に贈られたものである。

(05)巴丘(はきゅう)

周瑜のもとに、孫策が亡くなったとの知らせが届く。

(06)呉郡府

孫権が周瑜に兵符を譲ろうとするも拒まれる。

(兵符まで譲ろうという)弱気すぎる孫権の設定はどうかと思う。

またここで孫権が周瑜に、「将軍は文武に長け、父兄(孫堅〈そんけん〉と孫策)とともに戦ってきた……」と言っていた。このドラマでは周瑜が孫策に助力したのは孫堅の死後のこととして描かれており、兄(孫策)はともかく父(孫堅)も加えているのは引っかかる。先の第15話(05)を参照。

周瑜が孫権の母に帰還の挨拶をする。

ここで孫堅の位牌らしきものが出てきたが、諡号の部分は読み取れなかった。

周瑜が程普(ていふ)・黄蓋(こうがい)・韓当(かんとう)らとともに、孫策の霊前で孫権への忠誠を誓う。

大喬が孫紹を連れ、船でどこかへ去る。

孫紹は赤ん坊という設定。それよりも大喬の去り方が引っかかった。

(07)西暦208年 新野(しんや)

劉備の諸葛亮への傾倒ぶりに、関羽(かんう)と張飛(ちょうひ)が不満を漏らす。

ここで張飛が関羽に、「孔明(こうめい。諸葛亮のあざな)は俺より10(とお)も下だ」と言っていた。諸葛亮は181年生まれである。張飛の生年は正史『三国志』でもはっきりしないが、このドラマでは171年ごろと設定しているようだ。

ここで劉備の話に戻った。孫策の死については挟みどころが難しい印象を受ける。

管理人「かぶらがわ」より

ついに諸葛亮が出廬した第34話。しかし、もし誰も隆中に迎えに来なかったら、彼はどうするつもりだったのでしょうか……。

そして孫策がこれほど早く亡くならなければ、江東はまったく違った戦略を採っていたのでしょう。大喬が孫紹を連れて去るという展開には、その後のフォローがほしかった。

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監督:ガオ・シーシー 脚本:チュウ・スージン 国内販売元:エスピーオー
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記事作成にあたり参考にさせていただいた各種文献の詳細は三国志の世界を理解するために役立った本(参考文献リスト)をご覧ください。

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