『三国志 Three Kingdoms』の考察 第49話「趙雲、桂陽を取る(ちょううん、けいようをとる)」

劉備(りゅうび)は荊州(けいしゅう)南部にある4郡の攻略に乗り出し、幸先よく零陵太守(れいりょうたいしゅ)の劉度(りゅうど)を降す。

さらに張飛(ちょうひ)が武陵(ぶりょう)の攻略に成功すると、桂陽(けいよう)攻めを任された趙雲(ちょううん)も難なく太守の趙範(ちょうはん)を降し、あとは長沙(ちょうさ)を残すのみとなった。

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第49話の展開とポイント

(01)零陵

邢道栄(けいどうえい)が手はず通りに劉備に内応すると見せかけ、劉備軍を城内へ引き入れたうえで攻撃する。

劉賢(りゅうけん)と邢道栄は逃げ出した劉備軍を追撃。劉備を捕らえたかに思えたが、これは劉備に扮(ふん)した別人だった。ほどなく張飛らが反撃に転じ、劉賢を生け捕る。

このあと邢道栄がどうなったのかよくわからなかった。

翌朝、劉度が城門の前で劉備を出迎える。

ここで劉備の軍列に「関」の旗が見えた。関羽(かんう)は荊州で留守を預かっていたのでは? まぁ、関平(かんぺい)が従軍していたという設定もアリか……。

劉度は無事に戻った劉賢に促され、劉備に太守の印綬(いんじゅ)を差し出す。しかし、劉備は引き続き劉度を零陵太守とする。

ここで劉備が劉度に、零陵で有名だというホウカシュ(酒らしい)をごちそうしてほしいと話していた。

(02)劉備の軍営

零陵に続く桂陽攻めに、趙雲と張飛が名乗りを上げる。

ここは前の第48話(07)で馬良(ばりょう)が劉備に進言した攻略順(零陵→武陵→桂陽→長沙)と異なっている。

ここでは劉備が皆に、「南部についてはまず零陵。次に桂陽。最後に長沙と武陵を陥せばよい」と言っていた。やはり馬良の進言した順番とは違う。と思っていたら、後の(04)で武陵の話にも触れていた。武陵攻めのシーンがなかっただけらしい。

それでも馬良が進言した攻略順にはおかしいところがある。襄陽(じょうよう)から南下した場合、最も近いのは武陵となる。その後、零陵、桂陽と南下を続け、最後に長沙というのが無理のない順番だと思う。

劉備はどちらが桂陽へ向かうかクジで決めるよう言い、諸葛亮(しょかつりょう)は、ふたりに両方ハズレのクジを引かせたうえで趙雲を指名する。

その夜、趙雲は諸葛亮を訪ね、桂陽行きを取り計らってくれた理由を聴く。諸葛亮は、ひいきではなく大局を見ての判断だと答え、趙雲も納得する。

(03)桂陽

趙雲が3千の兵をひきいて到着。城の前で陳応(ちんおう)と一騎討ちを行う。

陳応は趙範(ちょうはん)配下の校尉(こうい)という設定。

ここでは槍(やり)だけで十分戦えるはずなのに、青釭剣(せいこうけん)まで取り出す趙雲。青釭剣は、趙雲が長坂坡(ちょうはんは)の戦いで夏侯恩(かこうおん)から奪った名剣。先の第36話(03)を参照。

陳応が刺股、刀の次に使ったソウスイという武器。巨大なダンベルのようなものかと思ったら、両端の重りの部分が別々になる構造だった。これが鎖でつながっているらしい。

趙雲は陳応を城外の林に追い詰めたものの殺さず、城に帰って趙範に投降を勧めるよう伝える。城に戻った陳応は、太守の趙範に投降を勧める。

このとき趙範配下の武官のひとりが、「太守、陳将軍がかなわぬ相手に勝てるはずがありません。やはり投降が賢明かと」と言っていた。陳応は将軍ではなく校尉だったはず。将軍と校尉では格が違うので、このあたりのテキトーなセリフに違和感がある。

鮑竜(ほうりゅう)がこの場を収め、2日後に趙範が投降することで話をまとめる。

『三国志演義』(第52回)では武官(管軍校尉〈かんぐんこうい〉)として登場する「鮑隆」だが、このドラマでは「鮑竜」とあり文官という設定。ちなみに吉川『三国志』(第169話)では「鮑龍」とあり、『三国志演義』と同様に武官という設定。

趙範は劉備に投降した後、趙雲を城内に招く。

この席で同郷(常山郡〈じょうざんぐん〉真定県〈しんていけん〉)のふたりは義兄弟の契りを結ぶ。一方で鮑竜は、ふたりが酒を飲んでいるうちに城門の閉鎖を命ずる。

その後、酒に酔って倒れた趙雲は、趙範の亡兄が使っていたという閨(ねや)で目を覚ます。趙範は趙雲に(今は未亡人となっている)兄嫁を引き合わせ、娶(めと)ってほしいと頼むが、趙雲は礼儀に反するとして拒む。

趙範は場所を変え、趙雲に曹操(そうそう)に仕えるよう説き始める。趙雲は室外に飛び出すと、鮑竜らの包囲を突破して城門までやってくる。

そのような中で趙範のもとに、陳応が城門を開けて趙雲を逃がしたとの知らせが届く。趙範は太守の印綬を持って逃げようとしたが、すぐに趙雲に包囲されてしまう。

陳応は校尉でも中軍校尉(ちゅうぐんこうい)という設定。ただ『三国志演義』(第52回)では、陳応も鮑隆と同じく管軍校尉とある。

(04)零陵

劉備が荊州から関羽を呼び寄せ、長沙攻めを命ずる。関羽は手勢500だけをひきいて長沙へ向かう。

ここは趙範が趙雲に追い詰められたシーンからいきなりの場面転換。ということで、桂陽の話は消化不良な感じ。

ここで諸葛亮が関羽に、「子竜(しりょう。趙雲のあざな)が桂陽を、翼徳(よくとく。張飛のあざな。正史『三国志』では益徳〈えきとく〉)が武陵を攻めた折には3千のみひきいたが……」と言っていた。やはりこの時点で張飛が武陵を攻略したことになっているが、関連するシーンがなかったのでわかりにくかった。

管理人「かぶらがわ」より

荊州の南部4郡の攻略を着々と進める劉備。この地域の太守は小粒な印象がありますね。

それにしても張飛の武陵攻めのところ、バッサリ切りすぎですよ……。ほかとのバランスを欠いていて乱暴だと感じました。

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監督:ガオ・シーシー 脚本:チュウ・スージン 国内販売元:エスピーオー
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記事作成にあたり参考にさせていただいた各種文献の詳細は三国志の世界を理解するために役立った本(参考文献リスト)をご覧ください。

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