韓曁(かんき)

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【姓名】 韓曁(かんき) 【あざな】 公至(こうし)

【原籍】 南陽郡(なんようぐん)堵陽県(とようけん)

【生没】 ?~238年(?歳)

【吉川】 第290話で初登場。
【演義】 第098回で初登場。
【正史】 登場人物。『魏書(ぎしょ)・韓曁伝』あり。

水排(水流を利用した韛〈ふいご〉)の工夫により効率は3倍に

父は韓純(かんじゅん)だが、母は不詳。韓術(かんじゅつ)は祖父。兄がいたものの名は出てこない。息子の韓肇(かんちょう)は跡継ぎで、韓繇(かんよう)も同じく息子。

韓曁は韓王信(かんおうしん)の子孫である。

司馬遷(しばせん)の『史記(しき)』および班固(はんこ)の『漢書(かんじょ)』によると、韓王信(淮陰侯〈わいいんこう〉の韓信と同姓同名のため、区別するために「王」の字が加えられている)は、もとの韓の襄王(じょうおう)の妾腹(しょうふく)の孫。漢(かん)の2(前205)年、漢王の劉邦(りゅうほう)によって「韓王」に立てられたという。

同県の顔役である陳茂(ちんぼう)が、彼の父と兄を陥れ死罪に追いやった。そのとき韓曁は表立って何も言わなかったが、日雇いをしながら資金をため、ひそかに決死の敵(かたき)討ちに協力してくれる者と結ぶ。

こうして陳茂を呼び出し敵討ちを遂げ、その首を父の墓に供えた。このことから韓曁の名が知られるようになった。

韓曁は孝廉(こうれん)に推挙され、司空(しくう)から召されたが、いずれも応ぜず。姓名を変えて魯陽(ろよう)の山中に隠れ住み、動乱を避けた。

山中の民が徒党を組んで強盗を計画した際、韓曁は家財を傾け牛や酒を用意する。そして彼らの首領を招き、安全と危険の道理を説いたところ、みな感化され、結局は悪事の計画を実行しなかった。

のち韓曁は袁術(えんじゅつ)の召命を避け、山都(さんと。県名)の山中へ移住。次いで荊州牧(けいしゅうぼく)の劉表(りゅうひょう)から礼を尽くした招きを受けたものの、あくまで逃げ隠れし、南方の孱陵(せんりょう)で暮らす。韓曁は行く先々で敬われたが、劉表にはひどく恨まれた。

そのうち身の危険を感ずると、やむなく劉表の命令を受け入れて「宜城県長(ぎじょうけんのちょう)」に就任。

208年、曹操(そうそう)が荊州を平定すると、韓曁は召されて「丞相士曹属(じょうしょうしそうぞく)」となる。その後、「楽陵太守(らくりょうのたいしゅ)」を経て「監冶謁者(かんやえっしゃ)」に転任。

以前は金属を溶かす際に馬排(馬の力を利用した韛)を用いたが、これは鉱石を熱するたびに100頭の馬を必要とした。さらに人排が作られたものの、これも大変な労力を要した。

そこで韓曁が水流を利用した水排を考案すると、作業効率は3倍になる。彼の在職7年の間に器物は充実した。献帝(けんてい)は詔(みことのり)を下して褒めたたえ、韓曁に「司金都尉(しきんとい)」の官号を加えたうえ、九卿(きゅうけい)に次ぐ待遇を与えた。

220年、曹丕(そうひ)が帝位に即くと、韓曁は「宜城亭侯(ぎじょうていこう)」に封ぜられる。

226年、韓曁は「太常(たいじょう)」に昇進。「南郷亭侯(なんきょうていこう)」に移封され封邑(ほうゆう)200戸を賜った。

このころ洛陽(らくよう)に遷都してから間がなく、統治機構も完備されておらず、宗廟(そうびょう)の位牌を納める祏(せき。石室)は鄴(ぎょう)に置かれていた。

韓曁は上奏し、鄴にある4つの廟の位牌を迎えるため洛陽に廟を建立し、四季の祭りには親しく供物をそなえられるようにと請願する。

「4つの廟および位牌」は、高皇帝(こうこうてい。曹騰〈そうとう〉)・太皇帝(たいこうてい。曹嵩〈そうすう〉)・武皇帝(ぶこうてい。曹操)・文皇帝(ぶんこうてい。曹丕)の4人のものを指す。

229年11月、曹叡(そうえい)の詔により、韓曁が「節(せつ。権限を示すしるし)」を手に鄴へ赴く。そして同年12月、父祖の位牌が洛陽に到着し、新たな霊廟に安置された。

韓曁は正しい礼のあり方を重んじて明らかにし、淫祀(いんし)をやめさせ、矯正することが多かったという。

233年、韓曁は「太常」の官にあること8年、病気のため辞職。のち「太中大夫(たいちゅうたいふ)」に任ぜられる。

238年2月、「司徒(しと)」に就任したが、このとき80歳を超えていた。

同年4月、韓曁が死去すると「恭侯(きょうこう)」と諡(おくりな)され、息子の韓肇が跡を継いだ。韓曁は死に臨むと、季節の服で遺体を包み、土室に葬るよう遺言したという。

管理人「かぶらがわ」より

韓曁の事績で目を引くのは、馬排・人排・水排に関する記事ですね。こういった工夫が当時から行われていたというのは興味深いもの。わが国では卑弥呼(ひみこ)の時代。その後の日本を形づくった先人たちに遠く思いを馳(は)せたりします……。

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