『三国志 Three Kingdoms』の考察 第45話「曹沖の死(そうちゅうのし)」

曹操(そうそう)の息子たちの中でひときわ利発さを見せていた曹沖(そうちゅう)だったが、毒鼠(どくそ)にかまれたことから危篤に陥り、そのまま亡くなってしまう。

一方、曹沖と同じく毒鼠にかまれた曹丕(そうひ)の容体は快方へ向かう。曹沖の死には毒殺の疑いまで持ち上がるが――。

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第45話の展開とポイント

(01)許都(きょと) 西門

曹操が4人の息子たちに、南門から逃げて許都に留まっていると思われる刺客の扱いについて、それぞれの考えを聴く。

曹彰(そうしょう)は「即刻すべての城門を封鎖し、城内をくまなく調べましょう」と述べる。

曹植(そうしょく)は「(曹彰の案に)加えて刺客に懸賞金をかけましょう。賊を捕らえるため、すべての民を動員するのです」と述べる。

曹丕は「曹彰と曹植の言う通りです」とだけ述べる。

しかし、曹沖だけは「城門を開けて刺客を逃がすべきだと思います」と述べ、刺客を馬騰(ばとう)のもとに帰し、(曹操が)帰還したことを伝えさせたほうが効果的だと話す。

曹操は曹沖の考え方を褒めたうえ、ほかの3人を「敵を恨むより、敵を利用すべきと心得よ」と諭す。

(02)丞相府(じょうしょうふ)

曹操のもとに馬騰と韓遂(かんすい)が撤退したとの知らせが届く。

曹丕が陳羣(ちんぐん)を呼び、司馬懿(しばい)について尋ねる。

陳羣は曹丕に、幼いころ住まいが近く、ともに遊んで過ごしたこと。18歳の時までナンザン先生(?)の門下で古今の兵法や陰陽、エキリ(易理?)を学んだこと。その後、陳羣は28歳で曹操に仕えたが、司馬懿は放浪の旅を続けたことを話す。

さらに陳羣は、曹丕から司馬懿が丞相府に招かれたことを聞くと喜ばしい限りだと言い、彼の才能をたたえる。

そして陳羣は、司馬家が代々続く豪族であること。曾祖父・祖父・父はみな重職に就いていて仕える者も多いこと。広い田畑を所有していて蓄えも豊かで、その兄弟や息子たちも才人とたたえられていること。息子はふたりいて、どちらも極めて聡明であることなども話す。

そのうえで陳羣は、司馬懿を配下として取り込むよう勧める。これに対し曹丕は、曹操の命令を受けた後の司馬懿の動きを知らせてほしいと頼む。

このあたりの司馬懿の設定(代々続く豪族以下のくだり)は、かなり正史『三国志』に近いと思う。

だが、潁川郡(えいせんぐん)許昌県(きょしょうけん。許県)の出身である陳羣と河内郡(かだいぐん)温県(おんけん)の出身である司馬懿が、幼いころ住まいが近いはずがない。「ナンザン先生」についてはよくわからなかった。

それでも司馬家が名門であり、その父祖が重職に就いていたこと、司馬懿の息子の司馬師(しばし)と司馬昭(しばしょう)が優秀だったというのは事実。

陳羣が司馬懿を訪ねる。司馬懿は、自分が師傅(しふ)として仕えている曹沖よりも、曹丕のほうが聡明だと話す。

ここで陳羣は、青州刺史(せいしゅうしし)を務めていたが、持病が出たため許都へ戻って養生しているという設定になっていた。

また陳羣と司馬懿が、ウンボウ山(雲夢山?)で別れて以来、会うのは10年ぶりだとも言っていた。

曹沖が毒鼠にかまれて危篤に陥る。

荀彧(じゅんいく)は曹操に、かみ跡は鼠ではなく蛇のものだと告げる。曹操からきつく問われた荀彧は、曹丕による毒殺の可能性をほのめかす。

曹操のもとに、今度は曹丕が毒鼠にかまれて重体だとの知らせが届く。

ほどなく曹沖が亡くなる。一方で曹丕は快方へ向かう。

再び陳羣が司馬懿を訪ねる。司馬懿は、曹沖は自ら死を招いたのだと話す。

曹操は司馬懿にほかの息子を選んで仕えよと言うが、司馬懿は曹沖の御霊(みたま)のそばに庵(いおり)を結び、3年間お守りすると応ずる。

ここで司馬懿が曹操に、わずか3日間だけの曹沖の師だったとも言っていた。

曹操は司馬懿の申し出を認め、3年後に丞相府の主簿(しゅぼ)として再登用する考えを伝える。その後、曹操は荀彧に命じ、曹沖を毒殺した犯人を密かに捜すよう手配させる。

3日後の夜、曹操は自ら柩(ひつぎ)の間の様子をうかがい、3人の息子たちの態度から曹丕が犯人だと悟る。

曹操は荀彧に、曹丕・曹沖とも毒鼠にかまれたことにすると告げ、今後みながこの件に触れることを禁ずる。

(03)曹沖の墓

墓前の司馬懿を曹丕が訪ね、3年後に自分の師傅になってほしいと頼んで立ち去る。

管理人「かぶらがわ」より

この第45話は丞相府のシーンが多く、こういった形でまとめるのが難しかったです。曹沖が毒殺されたというのは創作でしょうが、まったく可能性がないとも言えませんね……。

跡継ぎの決定については過去の失敗例を見てきたはずの曹操。すんなり曹丕じゃダメなのかとも思いますが、それほど曹沖のデキが良かったということなのでしょう。

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