諸葛亮(しょかつりょう)は柴桑(さいそう)まで周瑜(しゅうゆ)の弔問に駆けつける。
その席で旧知の龐統(ほうとう)を見かけたため、彼と連れ立って街の酒場に入り、自分の主君の劉備(りゅうび)に仕えないかと誘ってみたが――。
第58話の展開とポイント
(01)西暦210年 南徐(なんじょ) 魯粛邸(ろしゅくてい)
孫権(そんけん)が魯粛に呂蒙(りょもう)の書簡を手渡し、呂蒙も魯粛の大都督(だいととく)就任に納得していると告げる。魯粛は大都督を引き受ける決意を固めた。
★ここで孫権が魯粛に、先に魯粛を怒って罷免したこと(第53話〈04〉)が、周瑜のメンツを保つためと、周瑜に後ろめたさを持たせるための芝居だったと明かしていた。このことで、周瑜が後任の大都督に魯粛を推薦するよう仕向けたのだとも言っており、周瑜が魯粛から受けた恩を利用したということになっていた。
★相変わらず、南徐と柴桑との使い分けがわかりにくい。
(02)柴桑
諸葛亮が周瑜の弔問に駆けつける。
★諸葛亮の到着前に周瑜の位牌が出てきたが、諡号(しごう)などはよくわからず。位牌上部の右側には「偏将軍(へんしょうぐん)」、左側には「周氏(しゅうし)」とあるようだが……。
諸葛亮が周瑜を悼む祭文を読み終えた後、この場にいた龐統が周瑜を侮辱する言葉を吐き、外へ連れ出される。
諸葛亮と魯粛がそれぞれの従者に命じ、龐統の後を追わせる。
街の酒場で諸葛亮が龐統と会い、劉備に仕官するよう勧めてみる。ほどなく酒場から出てきた龐統を、今度は魯粛が誘う。
★龐統は諸葛亮と魯粛のどちらとも旧知という設定。
(03)南徐?
魯粛が呉国太(ごこくたい)と孫権に、大賢人の龐統を連れてきたことを伝える。
★魯粛が来る前、呉国太が孫権に「こたびは私も柴桑へ参り、公瑾(こうきん。周瑜のあざな)を弔ったが……」と言っていた。この発言からは、南徐と柴桑を別の場所として扱っていることがうかがえるが――。
しかし呉国太は、周瑜の弔問の場における龐統の無礼な発言の話を聞かされており、龐統の登用を否定。これに孫権も同意する。
龐統は魯粛に、拝謁を断った孫権の度量の狭さを非難し、先に弔問の場で周瑜を罵ったのは、孫権の度量を試したかったからだと明かす。
龐統は引き止めを図る魯粛の話を聞こうとせず、立ち去ってしまう。
龐統が去った後で魯粛は官吏から、午前中に孫乾(そんけん)が女官を伴い、呉国太に拝謁したことを聞く。諸葛亮の仕業だと悟る魯粛。
ほどなく龐統は小舟で江東(こうとう)を離れ、荊州(けいしゅう)へ向かう。
(04)荊州 襄陽(じょうよう)
劉備が賢人を求める触れ書きを出す。
★劉備がこの触れ書きを出す前の話として、少し前に劉備が荊州で賢人を募り、官僚らが自分の子弟を推挙したこと。しかし才能のある子弟は見つからず、劉備が怒って官僚を罷免したことを、触れ書きを見ていた男に語らせていた。
★また、ここでその男が龐統に、「諸葛亮は南陽(なんよう)で育ち、荊州の者とは親交がある。疑いを避けるため(試験官を務めず)巡察に出たのだ」とも話していた。『三国志演義』の踏襲だろうが、諸葛亮が南陽で育ったというのは史実と異なる。
(05)左将軍府(さしょうぐんふ)
龐統が「リュウコウ」と名乗って論文を提出。劉備は論文の内容を高く評価するが、リュウコウ(龐統)の風采を見て疑問を抱く。そこで孫乾の進言を容れる形にして、リュウコウを耒陽県令(らいようけんれい)に任ずる。
しばらく後、劉備は孫乾からリュウコウの怠慢ぶりを聞かされる。劉備は張飛(ちょうひ)と孫乾に調査を命じ、ふたりを耒陽へ遣わす。
★ここで張飛が劉備に、「そいつはあの督郵(とくゆう)と同じだ。ああいう輩(やから)には虫ずが走る」と言っていた。このドラマでは督郵の一件に触れていないので、これだけで意味が通じるとは思えなかった。
(06)耒陽県
張飛と孫乾が到着。ふたりは県吏から、リュウコウが赴任して100日余りの間、県の政務にまったく手をつけていないことを聞かされる。
★官服姿の張飛というのは初めてかも。
張飛が怠慢を叱責したところ、リュウコウは目の前で政務を処理し始め、100日余りため込んでいた分を半日で片づけてしまう。張飛は耒陽を去ろうとするリュウコウを無理やり引き止めたうえ、孫乾とともに荊州へ戻る。
(07)襄陽
劉備は張飛からリュウコウの奇才ぶりを聞き、すぐに耒陽へ向かう。
★ここでは劉備が、月見の宴の予定や息子の阿斗(あと)の病より、リュウコウに会うことを優先した様子を描いていた。
(08)耒陽県
劉備の前にリュウコウが姿を現す。
管理人「かぶらがわ」より
龐統が主役の第58話。「人を見かけで判断してはいけない」という教訓的な内容になっていました。
龐統は諸葛亮とタイプが異なり、特に張飛あたりとは相性がよさそうですね。
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記事作成にあたり参考にさせていただいた各種文献の詳細は三国志の世界を理解するために役立った本(参考文献リスト)をご覧ください。
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