閻圃(えんほ)

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【姓名】 閻圃(えんほ) 【あざな】 ?

【原籍】 巴西郡(はせいぐん)

【生没】 ?~?年(?歳)

【吉川】 第187話で初登場。
【演義】 第059回で初登場。
【正史】 登場人物。

張魯(ちょうろ)を救った適切な進言

父母ともに不詳。閻纘(えんさん)は孫。

後漢末(ごかんまつ)、漢中(かんちゅう)の張魯は「五斗米道(ごとべいどう)」の「師君(しくん)」を号し、宗教国家とも言える一大勢力を築いていた。

朝廷にはこれを討伐する力がなかったため、かえって使者を遣り、張魯を「鎮民中郎将(ちんみんちゅうろうしょう)・漢寧太守(かんねいのたいしゅ)」に任じ、貢ぎ物を献ずる義務だけを課すという恩寵を与えていた。

あるとき漢中の住民に、地中から玉印を掘り出して献上した者がおり、配下はみな張魯に「漢寧王」を称するよう勧める。

だが、功曹(こうそう)の閻圃は諫めて言った。

「漢川(かんせん)は戸数10万を超え、財が豊かで土地も肥沃(ひよく)。しかも四方を険阻に守られています」

「うまく天子(てんし。献帝〈けんてい〉)をお助けできれば斉(せい)の桓公(かんこう)や晋(しん)の文公(ぶんこう)のようになれましょうし、それが無理でも竇融(とうゆう)のようにはなれ、富貴の身分を失うことはないでしょう」

「今でも独断で処置するに十分な権限や勢力をお持ちなのですから、あえて王を称され、災厄を招かないようにしてください」

張魯は彼の意見に従った。

斉の桓公と晋の文公は春秋(しゅんじゅう)時代の覇者。

竇融は河西(かせい)で一大勢力を保っていたが、後漢の初めに光武帝(こうぶてい)に帰順した人物。

211年、韓遂(かんすい)と馬超(ばちょう)が関中(かんちゅう)で挙兵すると、関西(かんぜい。函谷関〈かんこくかん〉以西の地域)に住んでいた数万戸の民が子午谷(しごこく)を通り、張魯のもとへ避難してきた。

215年、曹操(そうそう)の侵攻を受け陽平関(ようへいかん)が陥落すると、張魯は降伏しようとした。

これを閻圃が諫めて言う。

「今のように追い詰められた状況で出向けば、きっと低く評価されましょう。杜濩(とこ)を頼るか朴胡(ふこ)のもとへ赴き、抵抗した後で臣礼を執られたなら、必ず高く評価されるでしょう」

杜濩と朴胡は「巴の七豪族」に数えられた人物。『三国志』(魏書〈ぎしょ〉・武帝紀〈ぶていぎ〉)によると、この年の9月、ふたりとも配下の民をひきいて曹操に帰順。杜濩は「巴西太守」に、朴胡は「巴東太守(はとうのたいしゅ)」に、それぞれ任ぜられたうえ「列侯(れっこう)」に封ぜられたという。

そこで張魯は南山(なんざん)へ逃走し、巴中(はちゅう)に入る。このとき張魯は本拠地の南鄭(なんてい)を捨てるにあたり、側近らの意に反し宝物や財貨が蓄えられた蔵を焼かず、それらに封印を施して立ち去った。

のち南鄭に入城した曹操はこれを見て大いに感心。張魯は善良な心を持っているとし、使者を遣わして慰撫(いぶ)と説得にあたらせた。

同年11月、張魯が家族を引き連れて出頭すると、曹操は出迎えて「鎮南将軍(ちんなんしょうぐん)」に任じ、賓客の礼をもって待遇。また、張魯を「閬中侯(ろうちゅうこう)」に封じて1万戸を授けたうえ、その5人の息子も「列侯」に封じた。この際、閻圃も同じく「列侯」に封ぜられた。

曹丕(そうひ)の黄初(こうしょ)年間(220~226年)、閻圃は爵位を進められて封邑(ほうゆう)も加増され、朝議において礼遇される身分となる。その後、10年余りして病死(時期は不明)したという。

管理人「かぶらがわ」より

上で挙げた記事は、『三国志』(魏書・張魯伝)とその裴松之注(はいしょうしちゅう)によるものです。張魯の性格とも関係があるのでしょうけど、結果的に閻圃の進言を容れたことで彼の一族は救われました。

なお習鑿歯(しゅうさくし)は、張魯が王号を称するのを思いとどまらせた閻圃の諫言を採り上げ、その功績を評価した曹操の態度を激賞しています。戦功ばかりを重視すれば、みな乱世が利益になると考えるようになり、いつまでも戦争が終わらないのだと。まったくおっしゃる通りです。

あと閻圃がらみの話としては、『三国志』(蜀書〈しょくしょ〉・馬超伝)の裴松之注に引く魚豢(ぎょかん)の『典略(てんりゃく)』に以下のような記事がありました。

初め(214年に)馬超が入蜀したとき、妾(めかけ)の董氏(とうし)と息子の馬秋(ばしゅう)は張魯のもとに預けられていたそうです。(翌215年に)張魯が降ると、曹操はふたりを捕らえ、董氏を閻圃に与えたということでした。馬秋のほうは張魯に引き渡され、処刑されてしまったのだとも。

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