鮑信(ほうしん) ※反董卓(とうたく)連合軍に参加した諸侯

【姓名】 鮑信(ほうしん) 【あざな】 ?

【原籍】 泰山郡(たいざんぐん)平陽県(へいようけん)

【生没】 152~192年(41歳)

【吉川】 第019話で初登場。
【演義】 第003回で初登場。
【正史】 登場人物。

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反董卓(とうたく)連合軍に参加した諸侯、曹操(そうそう)を救って自身は戦死

父は鮑丹(ほうたん)だが、母は不詳。鮑韜(ほうとう)は弟。鮑邵(ほうしょう)と鮑勛(ほうくん)というふたりの息子がいた。

鮑信は鮑宣(ほうせん)の8世の孫にあたる。鮑宣は前漢(ぜんかん)の哀帝(あいてい。在位、前6~前1年)のとき司隷(しれい。司隷校尉〈しれいこうい〉)を務めた。

この鮑宣の子孫に、上党(じょうとう)から泰山に転居した者がいて、そのまま泰山に一家を構えた。

父の鮑丹は少府(しょうふ)・侍中(じちゅう)まで昇り、鮑家は代々儒学を修め、その教養をもって高名だった。

鮑信は、霊帝(れいてい。在位168~189年)の時代に騎都尉(きとい)に任ぜられた。若いころから節義をわきまえ、寛大で人を愛し、沈着剛毅にして知謀があった。

189年、鮑信は大将軍(だいしょうぐん)の何進(かしん)の命を受け、郷里に戻って兵を募る。

1千余人を集めて成皐(せいこう)まで引き返したが、すでに8月に何進が謀殺されていた。洛陽(らくよう)に入ると、ちょうど董卓も到着したところだった。

鮑信は、董卓が異心を抱いていることを見抜き、袁紹(えんしょう)に董卓を襲撃するよう勧めた。しかし袁紹は董卓を恐れ、思い切って動こうとはしなかった。

これを見た鮑信は手勢を引き連れて郷里へ帰り、歩兵2万と騎兵700に加え、輜重(しちょう)5千余台を集める。

同年12月、曹操が陳留郡(ちんりゅうぐん)の己吾県(きごけん)で挙兵。鮑信は弟の鮑韜とともに、集めた軍勢をひきいて呼応した。

翌190年1月、こうして山東(さんとう。崤山〈こうざん〉・函谷関〈かんこくかん〉以東の地域。華山〈かざん〉以東の地域ともいう)の諸侯が反董卓を旗印に挙兵すると、鮑信は行破虜将軍(こうはりょしょうぐん)に、鮑韜は裨将軍(ひしょうぐん)に、それぞれ任ぜられた。

しかし諸侯の足並みがそろわず、やがて連合軍は自然解散した。

この年、曹操は滎陽(けいよう)の卞水(べんすい)で、董卓配下の部将の徐栄(じょえい)と戦って敗れた。この戦いで鮑韜が戦死し、鮑信と曹操も負傷した。

翌191年、曹操が東郡太守(とうぐんたいしゅ)になると、鮑信は彼の上表によって済北国相(せいほくこくしょう)に任ぜられた。

翌192年、青州(せいしゅう)の黄巾軍(こうきんぐん)100万が兗州(えんしゅう)へ侵攻。任城国相(じんじょうこくしょう)の鄭遂(ていすい)を殺害した後、方向を転じて東平(とうへい)に侵入する。

兗州刺史(えんしゅうしし)の劉岱(りゅうたい)は、鮑信の制止を聞かずに出撃したものの戦死。これを受け鮑信は、州吏の万潜(ばんせん)らとともに東郡へ行き、曹操を迎えて兗州牧(えんしゅうぼく)とした。

曹操は勝利に驕(おご)る黄巾軍の様子を見、奇兵を伏せたうえ、寿張(じゅちょう)で戦おうと考えた。

そこで曹操は、鮑信とともに戦場の偵察に向かった。だが、後続の歩兵部隊が到着しないうちに、黄巾軍と遭遇したため白兵戦になる。

鮑信が必死に戦ったおかげで、曹操は何とか脱出できたが、鮑信は戦死してしまう。このとき41歳だった。

曹操は、懸賞金を出して鮑信の遺骸を探させたが、ついに見つけられなかった。人々は鮑信の姿に似せて木像を彫ると、これを祭って哭礼(こくれい。大声を上げて泣く礼)を行ったという。

管理人「かぶらがわ」より

『三国志』および范曄(はんよう)の『後漢書(ごかんじょ)』には、鮑信の伝が立てられていません。ですが鮑信の曹操への献身ぶりは、その後の歴史に大きな影響を与えたと思います。

『三国志』(魏書〈ぎしょ〉・鮑勛伝)の裴松之注(はいしょうしちゅう)に引く王沈(おうしん)の『魏書』では、鮑信のことが以下のようにまとめられていました。

「鮑信は動乱に遭遇して旗揚げしたとはいえ、もともとは儒学を修めた家柄で、自身は節倹そのものの暮らしを送っていた。将兵を手厚く待遇して家に財産を残さなかったため、みな彼になついた」

212年になって、曹操は亡き鮑信の功績を採り上げています。このときの上奏により、鮑信の息子の鮑邵が新都亭侯(しんとていこう)に封ぜられ、その弟の鮑勛が丞相掾(じょうしょうえん)に任ぜられました。

それでも、これらの待遇は破格とは言えません。鮑信の功績を考えると冷たい感じさえします。しかも鮑勛は、曹丕(そうひ)の時代に処刑(226年のこと)されていますからね。

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